国内向け原油輸送への早期導入目指す
日本郵船、出光タンカー、飯野海運、日本シップヤードの4社は10月15日、今年1月に結成を発表した環境対応VLCC(大型原油タンカー)の研究開発を共同で進めるためのコンソーシアムで策定した、次世代燃料としてメタノールを使用する国内初のマラッカマックス型(マラッカ海峡を通峡可能な最大船型)VLCCのデザインコンセプトを公表した。
4社は国際海運の目標となっている2050年のカーボンニュートラル実現に向け、デザインコンセプトを基に詳細な検討を進め、次世代型環境対応VLCCとなる本船型の計画的、段階的な建造発注および国内向け原油輸送への早期導入を目指す。
デザインコンセプト概要:
全長 | 最大339.5m |
型幅 | 60.0m |
型深 | 28.6m |
満載喫水 | 21.0m |
満載載貨重量 | 約309,400トン |
燃料 | メタノールおよび重油 |
その他 | 軸発電機搭載、風力推進補助装置「ローターセイル」搭載可能 |
本船型は、メタノールおよび重油を燃料として使用できる最新鋭の二元燃料主機を採用し、大型軸発電機で航行中の電力を確保できるほか、風力推進補助装置も搭載可能にする計画。
各仕様により、IMO(国際海事機関)による新造船を対象としたEEDI(Energy Efficiency Design Index、エネルギー効率設計指標)規制について、基準値比40%以上の削減を達成し、IMOが2025年から適用するPhase3(基準値比30%以上削減)を大幅にクリアできると想定している。
メタノールはIMOが打ち出している温室効果ガス排出削減戦略に貢献できる燃料として国内外で期待が高まっている。従来の重油を使用した場合に比べ、CO2排出量を約15%削減できる。
また、バイオマスを原料として製造されるバイオメタノールや、再生可能エネルギー由来の水素と回収されたCO2を利用して製造される合成メタノール(e-メタノール)といったグリーンメタノールを使用すれば、CO2排出量を実質ゼロにできる。
本船型のCO2排出量削減イメージ
環境対応VLCC・デザインコンセプトイメージ
(藤原秀行)※いずれも日本郵船など提供