【独自】山九、危険物倉庫の自動化・省人化促進に意欲

【独自】山九、危険物倉庫の自動化・省人化促進に意欲

担当者らが強調、物流事業のポートフォリオの1つとして磨き掛ける姿勢訴え

山九の瀬良倫物流事業本部3PL企画営業担当部長と有地貴史四日市支店長、時田淳四日市支店北勢物流グループマネージャーは10月1日、三重県菰野町で同社の新たな危険物倉庫「北勢第3物流センター」をメディアに公開したのに併せて、ロジビズ・オンラインの取材に応じた。

瀬良氏らは、危険物保管の需要は半導体や医薬品、化粧品などの領域で今後も着実に見込めると想定。山九として2021年度に策定した「危険物倉庫戦略」に則り、温度管理が可能な危険物倉庫の開発などに引き続き注力する姿勢を示した。

事業展開としては、危険物倉庫を単体で展開するというよりも、物流事業のポートフォリオの一角に位置付け、顧客のさまざまなニーズに応えられるようにする従来の方針を今後も堅持すると強調。“危険物物流の3PL”サービスに磨きを掛けていく姿勢を訴えた。

さらに、業務の安全性や効率向上のため、危険物倉庫の業務を自動化・省人化を促進していくことに意欲をのぞかせた。


10月に稼働を始めた「北勢第3物流センター」

三重・北勢の拠点を「モデル」に

瀬良氏は「輸配送やフォワーディングなどさまざまなサービスの中の1つに危険物倉庫があり、トータルでこれまでにもお付き合いのある化粧品や化学品のメーカーなどの業界に参入していこうと考えている。サービスメニューの1つとして捉えている」と説明。

「危険物倉庫の需要が伸びているのは間違いない。半導体に塗布する化学薬剤のフォトレジストなどの引き合いも増えている。当初は想定していなかったが、実際には小口の規模の引き合いも相当ある。そうした声にどうやって対応していくのか考えていく必要がある」と語り、小ロットの保管需要にも対応できるようにしていく考えを明らかにした。

今回危険物倉庫を新設した三重については「内陸に危険物倉庫を構えておられる物流企業はまだ少ないようなので、新たな需要のチャンスが生まれるのではないか」と期待感をのぞかせた。

さらに、「毒劇物はどんどん取り扱いの規制が厳しくなっているので、そうした品物にも対応できるようにして、危険物に関するニーズの変化にキャッチアップしていきたい」と述べた。

今後危険物に関する物流に注力する上で取り組みたいポイントとして「他の物流倉庫と違い、まだまだ自動化・省人化が進んでいない。『2024年問題』に関わることでもあり、物流は世界でも人手不足に悩んでいる業界なので、省力化の新たな技術導入などは積極的にやっていきたい。それがお客様に対する安全品質の担保につながると思っている」と解説。北勢エリアの危険物倉庫について「少しずつ、自動化のモデルとなる倉庫として活用していきたい」と話した。


取材に応じる瀬良氏

有地氏は「現場での声出し、指差呼称などの基本は徹底してやっている。保管だけでなく、小分けする作業などでもノウハウを蓄積している。安全管理の経験の蓄積はわれわれのセールスポイント」と強調。

時田氏も「一般の消費財にも増して、危険物倉庫は間違いが許されない。本社機能と連携しながら安全対策を強化、徹底していく。(山九の)他の拠点とも頻繁に情報交換している。山九としての知見をどのようにデジタル化していくか、取り組んでいる最中」と述べた。


取材に応じる有地氏(上)と時田氏

(藤原秀行)

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