イー・ロジット、M&A総研HDとアビスジャパン代表相手取り損害賠償請求

イー・ロジット、M&A総研HDとアビスジャパン代表相手取り損害賠償請求

買収時に不法行為と主張、相手方は強く否定

イー・ロジットは11月13日、内装や太陽光発電設備設置の工事などを手掛けるアビスジャパン(さいたま市)の笹尾隆代表取締役と、M&A仲介を手掛けるM&A総研ホールディングス(HD)の両者を相手取り、買収の際に不法行為で損害を生じたとして、東京地方裁判所に3億1730万円の賠償を求める訴訟を同日付で起こしたと発表した。

笹尾氏も今年7月、東京地裁に対し、イー・ロジットを相手取り、名誉を棄損されたとして200万円の損害賠償を要求する訴訟を提起していた。

イー・ロジットによれば、同社はM&A総研HDからの情報に基づき、笹尾氏からアビスジャパンの全株式を取得することを決め、昨年10月に買収した。しかし、2024年3月期の決算作業の過程で、暫定的な処理をしていたアビスジャパンの期首残高に重要な会計上の修正すべき事項があることが判明したという。事項の具体的な内容は明らかにしていない。

イー・ロジットは、アビスジャパンに関する重要な会計上の修正すべき事項は、23年9月29日に締結した株式譲渡契約で笹尾氏側の行為が明らかに表明保証違反に該当しているとともに、M&A総研HDも仲介業者としての注意義務に違反していると指摘。両者はともにイー・ロジットに対して不法行為責任などを負うと主張している。

一方、イー・ロジットによると、笹尾氏は、イー・ロジットが会計上の修正すべき事項を確認したことなどを理由に挙げ、アビスジャパン全株式を保有していたイー・ロジット子会社を外部に譲渡、アビスジャパンとともに連結対象から外した旨を開示した際の内容が虚偽と反発。名誉棄損が成立すると訴えているという。

イー・ロジットは「当社の適時開示の記載には違法性等もなく、笹尾氏が主張する名誉毀損が成立する余地はないと判断している」と強調している。

また、M&A総研HDは11月13日、「『仲介業者としての注意義務に違反』する事実は断じてなく、イー・ロジットによる当社に対する損害賠償請求等は一切認められないと考えている。本件はいわゆる(相手に苦痛を負わせることを目的とした)スラップ訴訟と考えられ、当社の名誉を著しく毀損する適時開示がなされたものであると判断している」との声明を発表、イー・ロジットの対応を強く非難した。

(藤原秀行)

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