【現地取材・動画】佐川が東京・青梅でドローン「レベル3.5」飛行の配送実験、初の1人で複数台運航管理も

【現地取材・動画】佐川が東京・青梅でドローン「レベル3.5」飛行の配送実験、初の1人で複数台運航管理も

メディアに公開、通常時と災害時の両方設定

佐川急便は12月2日、東京都青梅市の山間エリアで展開しているドローンを活用した配送サービスの実証実験をメディアに公開した。

実証実験はロボット開発を手掛けるスタートアップのイームズロボティクス、日本気象協会、ドラッグストア大手のサンドラッグと連携して実施。11月6日から12月6日までの間、平日に片道約8~15分をかけて1日最大6回程度飛行している。


実験に投入しているドローン

4者は東京都の支援を受け、2023年以降、計3回の実証実験を展開。今年2~3月には東京都内で初めて、ドローンに搭載したカメラで飛行ルート下に歩行者や車の有無を確認することなどを条件に、地上の補助者を置かず有人地帯上空を目視外飛行する「レベル3.5飛行」を行った。

今回は3回の実績を踏まえ、宅配荷物の輸送に加えて災害発生時に自治体と連携しながら救援物資を運ぶことを目指し、両方のパターンを想定してそれぞれのルートで荷物を空輸。さらに、1 人の運航管理者が同時に複数の機体やルートを管理する「1対多同時運航複数」にもトライしている。

メディアに公開した今回のルートは鉄塔や歩行者が往来する橋の上も飛行しており、機上のカメラで存在を見極めた上で、無人の場合に通過している。

佐川の千葉春生事業開発部技術研究課長は実験に併せて現地でメディアの取材に応じ、「平時の物流の活用だけでなく、能登半島地震でも起きた災害時の孤立集落への物資支援問題などニーズが高まっている。そういったところの活用に向けてしっかりと検証を行っている」と今回の実証の狙いを話した。


ドローンが離陸し、鉄塔を超えて目的地に向かう


千葉課長

4者は今後、社会実装に向けて、有人地帯上空を目視外まで自律飛行する「レベル4」の飛行を含め、実証を継続していくことを検討する。

12月2~3日の2日間行った実証実験のルートは、青梅市山間部の①沢井市民センター~御岳運動広場(片道約1.8km)、②二俣尾2丁目運動広場~二俣尾5丁目南運動広場(片道約2.7km)の2種類を設定。

空域の違う2ルートで同時刻に離陸、着陸までのオペレーションを行い、運行管理者は1人でモニターを見ながら2ルートを確認している。1人の運行管理者で複数機体・ルートを管理しているのは実証の期間中で初めて。


飛行ルート(三菱総合研究所リリースより引用)

使用したドローンの耐荷重は約5kg。実証では4.2kgの宅配荷物を想定して運んだ。メディアに公開した沢井市民センター~御岳運動広場間の飛行は、片道約1.8kmを約10分で飛行。同時刻に離陸したもう一つのルートも片道約10分で目的地に到着した。

佐川の千葉課長は、1カ月にわたる今回の実証期間中で見えてきた課題について「レベル3.5飛行になったことで監視者が減りコスト面で抑えられるといったメリットもある。また、いかに高頻度で新効率を上げていくかという部分に関しては回を重ねるごとに解消できていたと感じる」と強調。

その一方、「飛行当日の天気の状況や電波状況など、なかなか予想通りに飛べない事態が起きた。電波状況が悪いルートでは機体カメラが見えなくなり、飛行を断念した時もあった。引き続き、電波やドローン航路の整備については課題なので、今後改善に向けて実証を重ねていく」と意欲を語った。

(安藤照乃、藤原秀行)

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