「物流2024年問題」下でもトラック輸送量は前年水準維持、法令順守でドライバー労働時間減少も

「物流2024年問題」下でもトラック輸送量は前年水準維持、法令順守でドライバー労働時間減少も

帝国データ調査、景況感は燃料価格高騰などで厳しく

帝国データバンク(TDB)は12月23日、トラック輸送業界の最新景況レポートを公表した。

自社や政府などの統計の結果から、トラック輸送事業者の景況感は燃油価格高騰などで厳しいが、「物流2024年問題」を踏まえ、トラックドライバーの労働時間に減少の動きが見られることなどに言及。極端な輸送能力の低下には至らず、事前に危惧されていたような輸送力不足に陥ることなく、例年並みの輸送量を維持しているとの見方を示した。

その上で「依然として燃料費の高止まりや深刻な人手不足など業界を取り巻く環境は厳しい。業況改善に向けては、さらなる輸送の効率化や自動化などを推進し、安定的な物流機能の確保に取り組む必要がある」と訴えた。

TDBで算出しているトラック輸送事業者の景況感を示す景気DIは今年11月時点で44.1となり、全産業の景気DI(44.4)を0.3ポイント下回った。「良い」「悪い」の判断の境目となる50を5ポイント以上、下回った。

一方、トラック輸送事業者の仕入れ価格の状況を把握する仕入単価DIは69.5、正社員の人手不足状況を表す雇用過不足DI(正)は66.5と高水準を記録。TDBは「燃料価格の高騰やドライバーなどの人手不足の影響が経営を直撃している様子がうかがえた」と分析している。ただ、時間外労働時間DIは47.7と前年同月から減少した。

厚生労働省の「毎日勤労統計調査」より、常用労働者数5人以上の道路貨物運送業を対象に2024年の月間所定外労働時間を見ると、1~9月の平均は月当たり27.3時間だった。23年の平均28.7時間/月と比較すると1時間以上減少しており、直近10年間で最も低い水準となった。TDBは「物流2024年問題」を受け、法令順守の動きが見られたと指摘した。

輸送量の動向は、国土交通省の「自動車輸送統計月報」で確認した場合、貨物営業用自動車の輸送量は、2024年4~8月で計10.5億t。前年同期(計10.3億t)と比較すると2.0%増加しており、過去5年間で高い水準を維持していた。また、大手3社の宅配貨物の取り扱い個数も同様の傾向が見られ、4~8月は計19.2億個で前年同期比1.3%増だった。

TEDは「道路貨物輸送業の時間外労働時間は減少傾向にある中でも、輸送量はBtoB、BtoCともに前年度から同水準以上を維持している。人手不足が深刻な状況の中で、各社が輸送効率の向上に取り組んだことが分かる結果と言えよう」と解説。

配送効率向上のための企業の取り組みとして、パレット輸送や中継輸送の実施、車両の大型化や共同配送など輸送システムの見直しなどが行われているほか、適正な運賃設定が荷主の理解を得て徐々に進んできているといった声も聞かれると分析している。

(藤原秀行)※いずれもTDB提供

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