同一企業ベースでは微減、物価上昇などで売上単価上昇が影響か
日本ロジスティクスシステム協会(JILS)は12月26日、2024年度の物流コスト調査結果の速報版を公表した。調査結果は原則として23年度の実績値を示している。
回答企業の売上高に占める物流コストの比率は全業種平均で5.45%(有効回答数190社、速報値)となり、前年度調査結果から0.45ポイント上昇した。前年度の実績を上回ったのは21年度以来、3年ぶり。
21年度調査は過去20年間で最も高い割合(5.70%)を記録したが、その水準に次ぐ高さとなった。
JILSは「近年、物流事業者からの値上げ要請などを理由に、売上高物流コスト比率は長期的な上昇傾向にあると考えられる」と指摘した。
ただ、22年度調査にも協力し、比較が可能な139社ベースで見ると、23年度の5.37%から0.21ポイント下がって5.16%だった。
JILSは「物流コスト単価については上昇傾向が見られるが、それ以上に、物価上昇などにより荷主企業の売上単価が上昇しており、結果として微減になっていると考えられる」と分析した。
売上高・物流量・物流コストのそれぞれの動向を見る指数を、製造業と卸・小売業の回答を基に算出したところ、2023年度の指数(回答社数161)は、売上高がプラス28で22年度から16ポイント低下した一方、物流量が13ポイント低下しマイナス17、物流コストが13ポイント低下しプラス22だった。
指数は前年度から「増加」と回答した企業が多いほど大きくなる。23年度は荷動きが鈍化し、物流コストも低下したことがうかがえる。
一方、24年度の指数見通しは売上高がプラス42、物流量がプラス14、物流コストがプラス63となった。物流コストの上昇を見込んでいる向きが大幅に増えている。
JILSは「『2024年問題』も相まって物流コストの大幅な上昇の可能性が示唆されている」と指摘した。確定版は2025年4月に公表する予定。
(いずれもJILS調査資料より引用)
(藤原秀行)