政府が災害の被害最小化目指し法改正へ
政府は2025年度にも、港湾の耐震化促進のため、税制優遇措置の対象を全国に拡大する方向で準備を進めている。民間企業が保有している港湾の護岸などは老朽化で耐震性が不足しているものが増えている。地震や津波など災害が全国的に頻発しているのを受け、物流倉庫や製鉄所、発電所、製油所といった重要施設の被害を最小限に食いとどめ、港湾機能を維持するため、民間企業の取り組みを後押ししたい考え。
24年12月27日に閣議決定した25年度の税制改正大綱で方針を明記した。早ければ25年の通常国会に港湾法の改正案を提出する方向で準備を進めている。
政府は港湾法で、災害で破損すると大量の土砂が航路に流入して石油コンビナートへの船の出入りが長期間困難になることなどが見込まれる護岸や防波堤、物揚場を「特別特定技術基準対象施設」に指定。南海トラフ地震や首都直下地震などの発生が懸念されている地域を対象に、26年3月末までに無利子貸し付け制度を使い耐震改修工事をした場合は5年間、固定資産税を軽減している。
今後は税制優遇措置の期間を25年度末から28年度末まで3年間延長した上で、対象の地域を全国に広げる方向で調整している。併せて、企業に対し、措置を受ける前提として災害から護岸などの設備をどのように守るかなどを盛り込んだ「協働防護計画(仮称)」を策定することも義務付ける見通しだ。
(藤原秀行)