取引先中小企業との価格交渉・転嫁、日本郵便と西濃がともに「下から2番目」評価

取引先中小企業との価格交渉・転嫁、日本郵便と西濃がともに「下から2番目」評価

中企庁が調査結果公表

経済産業省中小企業庁は1月21日、下請振興法に基づき、中小企業との取引に関する価格交渉やコストアップ分の価格転嫁の実施状況に関する調査結果を公表した。

2024年9月の「価格交渉促進月間」のフォローアップ調査として実施。業務を受注している中小企業10社以上から主要な取引先と名前を挙げられた211社のうち、交渉に応じているかどうかなどの「価格交渉」は、鍵大手の美和ロック、戸建て住宅メーカーの一建設とタマホームの計3社が4段階の評価で最低となった。

 
 

タマホームは前回(昨年9月)から2回連続で最低評価だった。

コスト上昇分のうちどの程度取引価格に転嫁したかの「価格転嫁」が最低評価の企業は前回調査と同じくゼロだった。

211社の中で物流企業は物流子会社を含めて17社が名を連ね、価格交渉は4段階で最良の評価を得たのが日鉄物流、トランコム、山九、佐川急便、日本郵便輸送、レンゴーロジスティクスの6社だった。

一方、価格転嫁は日鉄物流、鴻池運輸、上組、ロジスティード東日本、山九、レンゴーロジスティクスの計6社が上から2番目の評価となった。

半面、日本郵便と西濃運輸の2社は価格交渉と価格転嫁がともに下から2番目の評価にとどまった。西濃は前回調査時も同様の結果だった。価格転嫁が下から2番目の評価だったのはこの2社に加え、日本郵便、全農物流、大和物流、日本通運、トランコム、佐川急便、日本郵便輸送、SBS東芝ロジスティクスだった。

中企庁による実名公表を受けて状況が改善している企業がある一方、価格転嫁交渉に慎重な向きが物流業界にいまだあることをうかがわせた。

 
 

調査結果を公表したのは5回目で、調査は昨年9月に実施した。中小企業との価格交渉や価格転嫁が適正に行われるよう促すことを企図している。

価格交渉と価格転嫁がともに最も高い評価だったのは日本製鉄やいすゞ自動車、コマツ、日立建機、トヨタ紡績など29社。前回調査の13社から大幅に増えた。

物流企業の評価は以下の通り。社名は資料掲載順に記載した。★は前回調査時には名前がなく、前回調査との比較ができない。かっこ内は回答した中小企業数で、左から「価格交渉」「価格転嫁」の評価。上からア、イ、ウ、エの4段階評価となっている。一番右のかっこ内は昨年3月実施の前回調査時の結果

 ヤマト運輸(67) イ・ウ(イ・ウ)
 日鉄物流(16) ア・イ(ア・イ)
 日本郵便(22) ウ・ウ(ア・ウ)
 日本梱包運輸倉庫(14) イ・ウ(イ・ウ) 
 全農物流(11) イ・ウ(ア・ウ)
★大和物流(11) イ・ウ
 日本通運(75) イ・ウ(イ・ウ)
 鴻池運輸(11) イ・イ(イ・ウ)
 トランコム(17) ア・ウ(イ・ウ)
 上組(15) イ・イ(イ・ウ)
 ロジスティード東日本(11) イ・イ(イ・ウ)
 西濃運輸(21) ウ・ウ(ウ・ウ)
 山九(18) ア・イ(ア・イ)
 佐川急便(56) ア・ウ(イ・ウ)
 日本郵便輸送(14) ア・ウ(ア・ウ)
★SBS東芝ロジスティクス(11) イ・ウ
★レンゴーロジスティクス(10) ア・イ

(藤原秀行)

詳細はコチラから(中企庁公式サイト)

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