最先端の機体投入、農薬を適正に散布し駆除
Terra Drone(テラドローン)は1月28日、海外子会社のTerra Drone Indonesia(テラドローン・インドネシア)とTerra Drone Agri(テラドローン・アグリ)を通じて、2024年12月にインドネシアのスマトラ島南部とマレーシアの北東部で、大規模なパーム農園でミノムシ防除のための農薬散布をドローンで実施したと発表した。
農園は2158haで、東京ドーム約460個分に及ぶ。
テラドローンは今回のプロジェクトを展開するのに際して、東南アジアを本拠とする化学大手Behn Meyer(ベン・メイヤー)と戦略的パートナーシップを締結し、ドローンオペレーターとして参画。現地の課題を解決できるドローンソリューションの提供を目指す。
プロジェクトの模様
ミノムシはパーム農園に深刻な被害をもたらす害虫で、放置すると葉を枯らすため生産量が減少し、経済的な損失を引き起こす。
世界のパーム油生産量の約8割を占めるインドネシアとマレーシアで農業の大きな課題となっているが、人の手では農薬や肥料の散布量を適切に管理し、過剰散布を抑制しながら効率的にミノムシ防除を行うことは難しく、従来の手法には限界があった。
テラドローンは現地の農業ビジネスに取り組む企業に幅広いネットワークを持つベン・メイヤーとタッグを組み、ドローンオペレーターとして最先端のドローン技術を提供してきた。今回のプロジェクトはパーム農園の生産性向上のために実施した。
ドローンを活用することで、農薬を適切な箇所に適切な量を散布できるため、人手による作業に比較すると過剰な散布を削減し、効率的なミノムシ防除を実現することが可能とみている。
今回のプロジェクトでは効率的かつ効果的なミノムシ防除を実現するため、広範囲にわたる散布に適した最先端のG30ドローンとE16ドローンを投入した。
マレーシアでは、広大な土地に対応するため、大容量タンクを搭載したドローンの需要が高まっている。大容量タンクを載せたG30ドローンは、一度の飛行で大量の農薬や肥料を運搬できるため大規模な作業に適しており、マレーシアの広大なエリアを効率的にカバーするのに適している。
一方、インドネシアは必要とされる農薬の散布量が少なく、作業目標が日次管理されることが多いため、少量タンクを搭載したドローンのニーズが大きい。E16ドローンは、飛行1回当たりのカバー面積がG30ドローンの半分にとどまる半面、コスト効率が高く効率的な農薬散布が可能なため、インドネシアの農園で使われてきた。
さらに、どちらのドローンにも高精度衛星測位技術「RTK機能」を必要に応じて搭載できるため、センチメートル単位の正確な自動航行を実現する。先進的なドローン技術を駆使し、現場ごとのニーズに応じた農薬散布を実現することで、両国のミノムシ防除プロジェクトの進展を後押しできたと自負している。
ドローンパイロットがマレーシアでG30ドローンを操作している様子(いずれもテラドローン提供)
テラドローンは、現地パートナーとの連携と最新のドローン技術を生かし、インドネシアおよびマレーシアでのミノムシ防除をはじめ、長期的な農業課題の解決に取り組む。
(藤原秀行)