大和ライフネクストが本社内に、受付専用タブレットなどもお披露目
大和ハウスグループでマンションやオフィスビルなどの管理を手掛ける大和ライフネクストは2月21日、東京都内の本社に、ロボットなどを駆使して建物管理を自動化・省力化する最新のDXソリューションを体験できる「大和ライフネクスト本社DXショールーム」を開設し、報道陣にお披露目した。
ショールームは大和ライフネクストが取り扱っている、来訪者の受付業務を自動化できる専用タブレット、案内や配膳、配送、清掃、草刈りの役割を担える各種ロボット、撮影したデータをAIで解析できるクラウド型カメラなどを備えており、今後ラインアップを順次拡充する予定。
同社はマンションやオフィスビス、商業施設などに加え、棟数が増え続けている物流施設向けにも、蓄積してきた建物管理効率化のノウハウと先進的な機器を組み合わせたDXソリューションを積極的に売り込んでいく構えだ。
ショールームの内部
ショールームはセンシングデバイス、スマートゴミ箱、遠隔設備モニタリング、顔認証システム、スマートロック、清掃・警備・案内の業務を1台で果たせる複合型サービスロボットも配備。30万円台から1000万円を超えるものまで多様なロボットが稼働している。見学は、基本的に一般予約は受け付けていない。
この日は清掃ロボットと受付ロボットをそれぞれ披露した。清掃ロボットは決まった時間に清掃を開始し、自分でエレベーターを乗り降りして異なるフロア間を移動することが可能。この日のデモでは動いている人間とぶつからないよう、エレベーターに乗る際には音声を発し、制御基板上でエレベーターを呼び出してスムーズに乗り降りを行った。
受付ロボットは来客がタブレット上で到着の操作を行うと、約束のある従業員にシステムが知らせるとともに、ロボットが自動でセキュリティのかかった自動ドアを開け、エレベーターの前まで案内した。エレベーターを自動で呼び出し、来客が乗ると受付ロボットは1階の受付まで戻る。来客が移動した2階のエレベーター前では別の案内ロボットが待ち構え、約束のある部屋まで案内した。連携している別の配送ロボットは部屋にペットボトル入りの水を運んだ。
本来は受付スタッフ、2階の受付スタッフ、案内スタッフなど複数人が必要になるが、3台のロボットが行き来することでオペレーションを完結できるようになるという。
清掃ロボット
来客者役の女性を案内する受付ロボット
クラウド型カメラ
AI解析カメラが画像から人物の性別や年齢を自動で判別する
さらに、物流倉庫で使われている受付アプリを紹介した。企業用にカスタマイズしたアプリは来客の入館・体感の手続き、館内マップ、各種連絡先紹介などの機能を搭載。これまでの紙や帳票を使った受付業務に代わり、顔認証などを使うことで受付の作業工数削減につなげられるとみている。
テナント側で庫内に不具合があった際、管理会社への連絡を電話ではなくアプリを介し、写真付きでメッセージを送信することで、管理会社がその場に行かなくても見積もりや状況確認ができるという。
このほか、センサーを活用したトイレやゴミ箱の使用状況管理、AI解析カメラを活用した防災センターとの連携・マーケティングへの活用事例なども報告した。
同社デジタルアセットマネジメント推進部の杉山学課長は「人手不足や人件費の高騰は、建物管理業に大きな影響を与えている。労働集約産業から労働分散、アナログ業務からデジタル業務へのシフトが喫緊の課題。建物管理会社のリーディングカンパニーとして、DX商材を建物管理の課題解決につなげ、管理業界への貢献を計りたい」と狙いを語った。
杉山氏
大和ライフネクストはこれまで、建物管理会社やデベロッパーから「実際にロボットの活用現場を見たい」と言われた際、ロボットを導入している会社に時間や場所を調整してもらい、出向いてデモを実施していた。しかし、「(テナントの通常業務が終わる)午後6時以降しか案内できないなどの制約があった。スケジュールを調整しなくてはいけないのでなかなか営業活動が進まないことも懸案だった」(デジタルアセットマネジメント推進部の原澤春志氏)という。
そこで、本社にDXショールームを開設し、主要なDXソリューションを公開することで、建物のオーナーや管理担当者、DXロボットの活用を検討している企業に対し、ロボットをリアルで活用している現場をイメージしてもらいやすいようにした。
大和ライフネクストは併せて、ショールームを使うことで自社の従業員を対象としたDX商材の理解を促すとともに、デジタルアセットマネジメント推進部が必要に応じて自由にロボットやDX商材を使った実証実験のフィールドとして使えるようにすることも念頭に置いている。実際、経済産業省の補助事業の取り組みで、ショールームを使って警備ロボットと防犯カメラや機械警備センサーを連携させる実証を行ったという。
原澤氏は「当社はロボットメーカーではなく、建物管理会社の立場のため、この建物にロボットが難題必要でどんなオペレーションが必要か、運営管理側としてオペレーションの一貫した提案ができる」と利点を強調している。
原澤氏
(安藤照乃、藤原秀行)