三菱重工、無人機活用した被災地への重量物資輸送や自動荷降ろしなどを実証

三菱重工、無人機活用した被災地への重量物資輸送や自動荷降ろしなどを実証

南海トラフ見据えた自衛隊主催の災害対処訓練に参加、搭載カメラで発災直後の被災者や被害箇所確認も可能と判断

三菱重工業は3月5日、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)と連携し、南海トラフ巨大地震の発生を見据えて陸上自衛隊中部方面隊が主催して実施した災害対処訓練「南海レスキュー2024」に参加したと発表した。

同社の民間機セグメントが開発中の小型シングルローター型無人機を用いた発災直後の被害状況確認訓練や、中型マルチコプター型無人機を使った被災地への重量物資輸送訓練を行い、成功した。

 
 

中型無人機を用いた被災地への重量物資輸送訓練は、重さのある支援物資を強風の中で空輸し、孤立地域を想定した場所に届けてウィンチで自動荷降ろしすることができると確認。

具体的には、キリンビバレッジが支援物資として提供した2lペットボトルの飲料水72本(重量150kg)を、風速最大10m/s弱の強風の中、離陸・巡航時には抱え込んで飛行することで風の抵抗を抑え、荷降ろしの際にはホバリングしながらウィンチでロープを伸ばし接地後に切り離した。

また、小型無人機を用いた発災直後の被害状況確認訓練は、搭載カメラにより被災者や被害箇所の確認が可能と実証した。

三菱重工は航空機開発・製造で培った技術を生かし、民生と防衛の両用途に使用可能なデュアルユースを想定した無人機の開発を進めている。

今後も実証試験を続け、得た知見を無人機仕様に反映して安全性・信頼性の向上に努めるとともに、携帯電話が使用できないエリアでも通信可能な衛星通信機能の搭載、中型無人機のハイブリッド化による航続距離の延長などの機能向上を図る。

今後、小型無人機は広範囲の点検・巡回・巡視ミッションに適した特徴を駆使し、災害発生初期の被害状況の広域・迅速な調査、河川や道路のパトロールなどへの活用を目指す。

 
 

中型無人機は、頻発する災害時に課題となる孤立地域への支援物資輸送や、離島や山間部など物流量が少ない路線での物流の効率化のためのトラックや船からの代替、送電鉄塔の建設・補修工事など車でのアクセスが困難な山間部の工事での資材運搬といった領域で活躍させたい考え。

【中型無人機 仕様】
ペイロード:200kg
航続距離:15km(試作機)、200km(将来計画)
機体寸法:全長約6m
動力:バッテリータイプ
ハイブリッドタイプ(エンジンで発電)開発中
運搬容易性:離発着地までトラックで運搬可能
実証試験のための追加装備:
ウィンチを使った自動荷下ろしシステム、支援物資運搬コンテナ


被災地への物資輸送訓練に使用した中型無人機

【小型無人機 仕様】
耐風性(風速20m/s)を考慮したシングルローター型
機体寸法:長さ 約2m × 幅 約0.5m × 高さ 約0.9m
航続時間:最大 2 時間
飛行速度:巡航速度80km/h (最大 130 km/h)
ペイロード:7kg 燃料含む
可視光カメラ搭載
動力:ガソリンエンジンによる駆動
(本訓練では飛行距離が短いことから電動モータータイプを使用したため、上記仕様とは一部異なる)


発災直後の情報収集訓練に使用した小型無人機

(藤原秀行)※いずれも三菱重工業提供

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