【現地取材・動画】オリンパス、神奈川・相模原で自動倉庫など先進機器活用の物流センター公開

【現地取材・動画】オリンパス、神奈川・相模原で自動倉庫など先進機器活用の物流センター公開

新たに梱包装置活用で年間コスト4%削減見込む

オリンパスは3月5日、神奈川県相模原市の物流拠点「相模原物流センター」をメディアに公開した。自動倉庫を活用して製品の保管・出荷効率を高めているのに加え、新たに自動梱包装置を採用。製品出荷時の段ボールケースのサイズを最適化し、トラックの積載効率向上を図っている。

「物流2024年問題」や人手不足を踏まえ、自動化・省力化設備を導入し業務を効率化。同センターは医療用機器などを扱っており、出荷の迅速化で同社が最重視している製品の安定供給を確保する狙いもある。

 
 

同センターは大和ハウス工業が開発した物流施設「DPL相模原」の4、5階に入居。使用している倉庫フロアの面積は約3万㎡で、庫内業務はロジスティードに委託している。出荷規模は1日当たり国内向けが約4000行、海外向けが約500行に及ぶ。

出荷行数38%アップなど目標達成

オリンパスは物流の持続可能性を高めるため、2019年以降、倉庫自動化プロジェクトを展開。採用する自動化機器の選定やレイアウト、システム設計などを自社内で主導して進めてきた。

入出荷・在庫管理の自動化へ同センターでノルウェーのオートストアと村田機械の計3種類の自動倉庫を設置している。取り扱っている約4500品目のうち約8割を自動倉庫経由で実施しており、サイズが大きいものなど残る約2割はラックを使って保管、作業スタッフが入出庫を担当している。自動倉庫経由の製品は手術に用いる器具など、オリンパスが「消耗品」と位置付けているものが対象だ。


ラックを使って保管している製品。パレットサイズにきっちり合うよう整然と保管している

オートストアの「AutoStore」は保管可能な専用コンテナ「ビン」が1万3685個で、1時間当たり450行の出荷が可能だ。村田機械のバケット自動倉庫は収容できるコンテナが4240個で、出荷能力は1時間当たり470行。この2つの自動倉庫に加え、ピッキングが完了した製品が入っているコンテナを順立てして送り出す村田機械製のユニシャトルも活用。AutoStoreやバケット自動倉庫から送り出されたコンテナを出荷順にそろえ、梱包作業を最適に行えるようにしている。


AutoStore

 
 


ビンに保管している製品


手元に届いたビンから製品をピッキングし、出荷用のコンテナに移し替える。ほとんど移動する必要がなく作業スタッフの負荷を軽減している

AutoStoreは保管効率を、バケット自動倉庫は作業スピードを重視して保管製品をチョイスしており、回転が速い製品はバケット自動倉庫に収めるなどの工夫を凝らしている。

オリンパスは自動化により、同センターで1日当たりの出荷行数38%アップ、運営コスト31%削減、保管効率20%向上の目標を掲げていたが、自動倉庫の活用などでいずれの目標も達成することができたという。


村田機械のバケット自動倉庫


出荷する製品の入ったコンテナがコンベアで左側の梱包エリアに進む

 
 


段ボールケースを選んで組み立て、製品を収めて自動梱包機まで送り出す


同じ製品でも自動梱包機を通すとサイズを最適化できる(左)

さらに新たな試みとして、3月にレンゴーが開発した自動梱包機を本格的に稼働させた。梱包する製品の高さを検知して段ボールケースを自動的にカットし、最適な大きさにできる。梱包した段ボールケースは寺岡精工の自動計測器でサイズを瞬時に把握、データ化して宅配事業者に提供している。

従来は作業スタッフが大きめの段ボールケースに製品を詰めた後、緩衝材ですき間を埋めていた。自動梱包機の採用で、使用する段ボールケースをこれまでの12種類から4種類まで減らせる上、梱包資材や緩衝材の使う量も抑制できる。オリンパスは貨物容積も23年実績比で17%減らせるとみており、コストは年間4%抑制することを想定している。トラック台数の削減や作業時間短縮を通じて、2024年問題に対応していく構えだ。


自動梱包機の中を通ると、ケースが適切なサイズになって封緘される


ケースのサイズを自動計測

(藤原秀行)

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