業界団体など、法令やコンプライアンス順守の目標設定
軽貨物事業者らの業界団体、全国軽貨物協会は3月4日、東京都内で「貨物軽自動車運送事業適性化推進会議」の会合を開き、軽貨物輸送事業の取引適正化や安全対策などを盛り込んだ自主的な行動計画「貨物軽自動車運送事業適正化推進ロードマップ」をまとめた。
ロードマップは今年4月1日にスタート。EC市場の成長を受けて軽貨物輸送の需要が伸びているのに伴い、車両による死傷事故が増えていることを問題視し、今後1年間の「短期」、3年間の「中期」、10年間の「長期」の3つの視点で目標を設定、取り組みを進める方針を打ち出している。
短期の目標は軽貨物事業者が貨物運送事業法や道路交通法など関連法令を順守し、安全運行管理や日常点検といった最低限必要な義務を確実に実施していることを目指す。
中期の目標は、軽貨物事業者の過半数が法令順守を明確にクリアすると同時に、3割の軽貨物事業者が行政や業界団体が策定する各種ガイドラインを整備・実施するとともに必要に応じて安全統括責任者の配置など独自の上乗せ基準を設ける「コンプライアンス順守」を達成していることを掲げている。
さらに、長期の目標は法令順守を8割、コンプライアンス順守を過半数の軽貨物事業者がそれぞれ達成していることをうたっている。
また、中期目標の段階で、全国で「優良事業者」を認定する取り組みをスタートさせ、長期目標の段階では優良事業者の割合が飛躍的に高まるようにすることを想定。
「K-LINK(軽貨物物流情報連携プラットフォーム)」と称する独自のアプリを本格的に稼働させ、軽貨物事業者間で運行管理などの情報を共有できるようにするとともに、運行管理支援センターや各事業者の既存システムとAPI連携を可能にし、安全管理・適正取引の透明化などを図っていくことも盛り込んでいる。
同会議はセイノーホールディングス(HD)や丸和運輸機関、SBS即配サポートなどの物流事業者、業界団体などで構成。オブザーバーとして国土交通省や流通経済大学、アマゾンジャパンなどが名を連ねており、軽貨物輸送時の安全確保や法令順守徹底、多重下請け構造の是正に向けた具体策を協議する狙いがある。
(藤原秀行)