腰への負荷を軽減
アシストスーツを製造・販売する東京理科大学発スタートアップのイノフィスは3月11日、訪問介護サービスを展開する、陽なたスマイルケア(千葉県船橋市)にマッスルスーツ「Soft-Power」を2024年12月納入したと発表した。
アシストスーツ「マッスルスーツSoft-Power」の介護利用シーン(イノフィス提供)
陽なたスマイルケアは千葉県内で「訪問介護みかん」を運営し、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの進行性難病や重度障害を持つ人を対象に在宅介護サービスを提供している。ALSは進行すると自力での体動が困難になり、介護者は利用者の全身を支えながら移動や体位変換を行い、日常生活のあらゆる動作を補助する必要がある。
特にALSの患者は筋力が低下し、寝返りを打つことも難しいため、介護者が全身を支える必要があり、腰に強い負担が掛かるのが課題だった。
また、在宅介護では限られたスペースで作業を行うため、無理な姿勢を強いられることも多いことが難点だった。人工呼吸器を使用している場合は、チューブの位置を気にしながら慎重に動かす必要があり、通常の介助以上の集中力が求められる。ALSなどの重度障害を持つ方の介護は、一般的な介護業務と比べても身体的な負担が大きく、特に腰への影響が深刻という。
そこで、介護に当たるヘルパーの負荷を軽減するため、アシストスーツの採用に踏み切った。実際に使用したヘルパーからは「後ろから支えてくれる感覚があり、踏ん張らなくても姿勢を保てる」との声が上がり、おむつ交換や体位変換時の腰への負担が大幅に軽減されたと実感。特に、夕方になると疲労から腰の痛みが出ていた職員が「痛みが出なくなった」と報告しているという。
マッスルスーツSoft-Power(ソフトパワー)は電気が不要で、屋内外を問わず様々な作業シーンで活用可能なサポータータイプ。人工筋肉のアシスト技術をサポーターの背面部に組み込み、サポータータイプでは最強クラスの補助力を実現。腰の負担を35%軽減できるのが特徴。
製造・物流倉庫での持ち上げ・持ち運び作業や、介護現場でのつらい姿勢維持、農作業の前傾姿勢など腰に負担が掛かる作業で効果を発揮する。メーカー希望小売価格は5万9400円(税込み)。
(藤原秀行)