政府が関連法改正案、上下関係イメージさせる「下請け」の表現も変更へ
政府は3月12日の閣議で、受注側企業がコスト上昇分を代金により適切に価格転嫁できるよう発注側企業への規制を強化する下請法と下請中小企業振興法の改正案を決定した。
下請法改正案は対象となる取引で、発注側が受注側に対し、代金の見直しに関する協議に応じなかったり、協議の場で必要な情報を提供しなかったりして、一方的に代金を決めることを禁じ、価格交渉を確実に実施するよう求めている。
併せて、手形で代金を支払うことを禁じるほか、他の手段であっても受注側が支払い期日までに代金の相当額を受け取るのが困難なやり方を使うことも禁止する。
また、下請法の規制対象となる取引に、発荷主が商品の引き渡しに必要な運送を委託する場合を追加。運送業の保護を強化する。
加えて、規制対象となる取引は現在、発注側と下請けの事業者の資本金を基準としているが、新たに従業員数も加える。取引先に増資を迫って下請法の適用を逃れる事例があることなどから、規制を強める。
下請中小企業振興法の改正案は、価格転嫁や取引適正化の取り組みが不十分な発注側企業に対し、監督している主務大臣が指導や助言をしても改善が見られない場合、より具体的な措置を求めることができるようにする。
両法の改正案に共通して、「下請け」の用語を見直し、「下請事業者」を「中小受託事業者」、「親事業者」を「委託事業者」に変更。法律の名称も下請けの表記をなくし、発注側と受注側で上下関係があるような印象を与えるのを解消する。
政府は開催中の通常国会で成立を目指す。
(藤原秀行)