邦船社初、オランダ企業から供給
商船三井は3月19日、運航するLNG(液化天然ガス)燃料自動車船「CELESTE ACE」(セレステエース)が3月16日にベルギーのゼーブルージュ港で、オランダのエネルギー事業者Titan Supply(タイタン・サプライ)から約500tのバイオLNG燃料の供給を受けたと発表した。
バイオLNGは「液化バイオメタン(LBM)」とも呼ばれ、バイオガスを精製して液化している。成長過程で大気中のCO2を吸収しているバイオマスを原料とするため、製造から消費までのライフサイクル全体を通してカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)とみなせる。本来有機廃棄物から大気に出るメタン(CO2の約28倍の温室効果を持つ)を回収し、燃焼することによってメタンの大気中への放出を防ぎ、温室効果ガスの排出量を減らせるのも特徴。
商船三井によると、同船は邦船社が運航する外航船として初めてバイオLNG燃料を使用するという。
タイタンが提供したバイオLNG燃料は、ライフサイクルベースで炭素強度(エネルギー消費当たりのCO2)がゼロ以下となり、EU(欧州連合)域内が対象のISCC―EU認証(国際持続可能性カーボン認証)を取得済み。
LBMを供給する様子(商船三井提供)
LNG燃料は、従来の燃料油に比べてCO2の排出量を約25%削減する効果が見込めるが、カーボンニュートラルも実現可能な廃棄物や残渣由来のバイオLNG燃料を使用することで、よりCO2を削減できると見込む。
LNGとバイオLNGはともに主成分がメタンで、輸送や消費に関わる既存のLNGサプライチェーンをそのまま有効活用できるため、船舶運航における脱炭素化を後押しできると期待している。
(藤原秀行)