液体と固体の燃料組み合わせ、早期の社会実装目指す
宇宙往還が可能な輸送システムの実現に取り組むスタートアップの将来宇宙輸送システム(ISC)は4月14日、小型衛星用推進システムの開発・提供を手掛けるLetara(レタラ、札幌市)とハイブリッドエンジンを用いたロケットシステムの共同開発に向け、今年1月に包括連携協定を締結したと発表した。
ISCは「2028年を目標に、人工衛星の軌道投入を目指す」ことの実現へ国内外のパートナー企業と協業を進め、アジャイル型の開発に注力。特にロケット開発は重要性が高く、技術的に難しいエンジンの開発に際しては幅広い方法を検討している。
自社開発に加え、昨年4月には米国のロケットエンジン開発企業Ursa Major Technologies(ウルサ・メジャー・テクノロジーズ)とパートナーシップを締結したほか、昨夏には荏原製作所と包括連携協定を結び、同社製電動ポンプを活用したロケットエンジンの開発に取り組んでいる。
これまでISCでは離着陸の実現に向け、液体燃料を中心として開発を進めてきたが、早期に飛行実証が見込まれる選択肢として液体燃料と固体燃料を組み合わせるハイブリッドシステムを速やかに追加することで、開発の確度を高めることを目的に、Letaraと包括連携協定を締結することにした。
今回の連携は文部科学省の中小企業イノベーション創出推進事業 (SBIRフェーズ3)宇宙分野(事業テーマ:民間ロケットの開発・実証) のステージゲート審査委員会に提案、予算の追加配分を受けた。
Letaraは北海道大学の永田晴紀研究室(大学院工学研究院 機械宇宙工学部門 宇宙システム工学分野)で開発したハイブリッドロケット技術の社会実装を目指し、2020年に立ち上がった同大認定のスタートアップ。
これまで小型ハイブリッドエンジンを用いた人工衛星用推進システムの開発を進めてきたが、今回の包括連携提携を通じて、ロケットシステム用エンジンの開発へ本格的に着手する。
提携を発表した将来宇宙輸送システムの畑田康二郎CEO(最高経営責任者、左)とLetaraのケンプス・ランドン創業者 Co-CEO(共同最高経営責任者)(将来宇宙輸送システム提携)
(藤原秀行)