CBRE調査、今後高水準の供給続くが空室率上昇は限定的と予想
シービーアールイー(CBRE)が4月28日公表した2025年第1四半期(1~3月)の大規模マルチテナント型物流施設(LMT)の賃貸市場動向に関する調査結果によると、近畿圏の空室率は3.8%で、前期(24年10~12月)から0.1ポイントとわずかに上がった。
ただ、新規供給した4棟(10.6万坪)のうち2棟が満床で完成を迎えた。既存物件でも2024年竣工の1棟が満床となり、23年竣工分も空室の解消が進んでおり、需要自体は旺盛という。
新規需要は10.2万坪で、四半期ベースでは2017年第3四半期(11.1万坪)に次ぎ、調査を始めた06年第3四半期(7~9月)以降では2番目に多かった。
CBREは「近畿圏全体で食品、日用品、ECを含む消費財や製造業など多様なニーズが見られ、複数の新しい物流立地で開発されたLMTがこうしたニーズを吸収した」と分析している。
25年は第2四半期(12.0万坪)、第3四半期(17.5万坪)と高水準の新規供給が続く見通しだが、CBREは「空室率は上昇するものの、5%程度にとどまる」と予想している。
実質賃料は1坪当たり4230円で、前期から0.5%アップした。CBREは近畿全域で需給バランスがタイトなことが背景にあると解説している。
近畿圏の需給バランス
中部圏は4四半期連続で空室率低下
中部圏の空室率は12.6%で、前期から0.8ポイント下がった。前期から低下したのは24年第2四半期から4四半期連続となった。
新規供給はなく、複数の既存物件で空室の消化が順調に進んだことが追い風になった。
中部圏は25年4~6月に新規供給5棟が重なるため、空室率は上昇するとみているが、テナントの動きは活発と指摘している。
実質賃料は1坪当たり3670円で、前期からは横ばいだった。
中部圏の需給バランス(いずれもCBRE資料より引用)
(藤原秀行)