AGV活用したピッキングシステム活用、1日10万行の能力確保
工具などのEC大手MonotaRO(モノタロウ)は5月8日、茨城県笠間市に構えている物流拠点「笠間ディストリビューションセンター」(DC)をメディアに公開した。
笠間DCは平屋建てで延べ床面積は約5万6000㎡。2017年に本格稼働を開始し、東日本エリア向けを中心とした在庫を保有、首都圏などへの配送を担っている。膨大な商品出荷を円滑かつ安定的に済ませるため、自動入出庫・ピッキングシステムを取り入れるなど、積極的に自動化・省人化を図っているのが特徴。
在庫保有能力は約33万点、出荷能力は1日当たり10万行に及ぶ。同社はECの利用が今後も伸びていくと想定しており、自動化機器を引き続き有効に運用していく方針だ。
笠間DCの外観
笠間DCは日立製作所の小型無人搬送ロボット(AGV)「Racrew」(ラックルー)を活用した自動入出庫・ピッキングシステムを展開している。工具などの在庫を保管している棚数は約6000、AGVは約330台に上る。
AGVが在庫を保管している棚の下に潜り込み、作業スタッフが待機しているピッキングエリアまで運んでいる。ピッキングする商品が入った棚の場所をプロジェクションマッピングで目立たせ、ミスを防いでいる。
AGVがピッキングする棚が並ぶ保管エリア
棚の下に潜り込んで運ぶAGV
プロジェクションマッピングでピッキングする商品が入った場所を指示する
併せて、入荷の際、商品を迅速に仕分けるため、24年7月に小型の仕分けロボット「t-sort」を採用した。笠間DC内で作業スタッフが担う業務の量を半分程度に減らせているという。
仕分けなどを担っているt-sort
さらに、1人のユーザーが多岐にわたる種類の商品を注文していても迅速に荷ぞろえできるよう、イトーキのシャトル台車式自動倉庫システム「システマストリーマ―SAS」を設置。Racrewでピッキングした商品の入ったコンテナを注文ごとに自動でまとめ、出荷・梱包エリアへ送り出している。
検品・梱包エリア
このほか、自動封函機を設置し、出荷するケースに商品と納品書を封入、送り状ラベルを添付した後、自動で商品の高さを検知して最適な大きさにケースを組み立てている。出荷コストの最適化につなげている。
自動封函機
夏場の猛暑対策として昨年6月に庫内で空調設備を導入、熱中症の疑いがある作業スタッフをゼロにできたという
広い庫内をSafie(セーフィー)のAIカメラでチェックしている
「安全道場」を設置し、フォークリフトの運転席からの周囲の見え方などを体感できるよう配慮している
(藤原秀行)