「物流2024年問題」受け作業時間短縮へ需要伸びる
日本パレットレンタル(JPR)は5月8日、レンタルパレットの利用企業に供給した枚数が2024年度は約5309万枚となり、過去最高に達したと発表した。前年度比で5.8%増えた。
JPRは利用増加の背景として、「物流2024年問題」を受けて政府が荷主企業や物流事業者に物流センターなどでの荷待ち・荷役作業時間短縮を強く求めていることへの対応として、JPRの製品を活用したパレット輸送を導入し、自社製品の輸送に必要なトラックの確保を安定化させようという企業の動きが強まっていると指摘した。
レンタルパレット供給枚数の推移
JPRレンタルパレット年間供給枚数(単位:万枚)
増加率は19年度以降の平均が2.3%なのに対し、24年度は2倍以上の伸びを示した。JPRのレンタルパレットを採用しているのは加工食品・日用品業界が多く、農産物、冷凍食品、菓子など、新たな業界でも利用が拡大しているという。
JPRのレンタルサービスは標準規格のパレットを企業に代わって保有し、全国に配置されたパレットデポから供給。並行して、届け先に輸送した後の空パレットを利用企業自らが回収するのではなく、卸売業・小売業の物流センターなどからJPRがまとめて回収する「共同回収システム」を全国で展開している。
共同回収システム概念図
JPRは一般に大型トラック1台分の荷物を手荷役で積み込みする場合、1.5~2時間程度を要するが、JPRレンタルパレットを導入し、フォークリフトで作業を行うと所要時間はおよそ4分の1に短縮できると試算。荷降ろしの際も同様とみている。
需要の伸びを踏まえ、共同回収拠点(JPRが空パレットの回収に訪問する物流センターなど)を拡充し、パレット輸送がしやすい環境の整備に注力。共同回収拠点の登録数は24年度に3000カ所を超えたという。ECやドラッグストア、低温(冷凍食品など)の物流センター、青果卸売市場といった新たな場所が拠点となる事例も増えている。
共同回収拠点数が増加している
供給体制の強化に向け、24年度には九州の中核拠点・福岡新宮デポを廃止し福岡古賀デポを新設したほか、東北の中核拠点の仙台デポを増床した。デポの能力拡充と立地の見直しを行うことで、従来発生していた地域間の空パレット回送を削減し、トラックの台数削減にもつなげていくのが狙い。各デポでは作業の自動化・省人化も図っている。
無人フォークリフトによるデポ内作業の省人化(いずれもJPR提供)
(藤原秀行)