国際フィーダー航路網の充実で長距離利用比率も上昇
国土交通省は7月3日、2018年度「全国輸出入コンテナ貨物流動調査」を基に日本の国際海上コンテナ物流動向の分析結果を発表した。
前回調査(13年度)と比較して全体の貨物量は8.8%増加した一方、主な輸出入先では中国が3%減、東南アジアは33%増と変化。また国内の高速道路網や国際フィーダー航路網の充実に伴い、京浜港と阪神港の国際戦略港湾で集貨が拡大傾向にあると考察。
北米・欧州方面はコンテナ船の大型化などから寄港便数が減少したものの、直航航路の利用率はデイリーサービスを維持している北米航路で78.6%を維持するなど引き続きニーズは高い状況にあるとの見方を示した。
同調査は日本発着の国際海上コンテナ流動を詳細に把握することを目的に5年に1度のペースで実施。18年11月の1カ月間に通関申告が行われた海上コンテナ貨物(空コンテナ除く)について分析した。
それによると相手国地域は輸出入ともに東アジアが909万トンで全体の47%を占め、次いでアジア(523万トン、27%)、北米(228万トン、12%)が多かった。このうち中国は3%減と同調査で初めてマイナスを記録。それに代わる格好で東南アジアが33%増と大幅な伸びを示した。
16年のパナマ運河拡張から初めてとなる同調査では北米西岸方面貨物が154万トンと4万トン減少したものの、北米東岸方面貨物は73万トンと25万トン増加しており東岸方面へのシフトが見られた。
国際戦略港湾である京浜港は東日本全体、阪神港は西日本全体を広く背後圏としており、引き続き日本の輸出入を支える基幹インフラとして機能。大分・宮崎方面の阪神港利用が増加して九州からの国際フィーダー航路による集貨に加え、東九州自動車道など高速道路ネットワークの延伸による内航フェリーとの連携輸送効果が表われた点をポイントに挙げている。
ただ船舶の大型化や船社間のアライアンス再編などから日本への寄港便数は減少。直航航路の利用率も低下したが、傾向は緩やかで直航航路に対するニーズは引き続き高いと展望。デイリーサービスを確保している北米西岸方面貨物は直航率 87.1%と高水準を維持、週1便となった欧州航路は直航率38.8%と一定の寄港便数の確保が重要と指摘した。
国際戦略港湾と国内各港を結ぶ国際フィーダー航路網の充実により、外貿コンテナ貨物のうち欧州・北米・中南米・アフリカ・大洋州といった長距離方面貨物は国際フィーダー航路の利用比率が14.4%と前回(13.3%)から1.1ポイント上昇している。
国交省ではコンテナ船の大型化や船社間の連携による基幹航路の再編、海運・港湾を取り巻く情勢が変化する中で欧州・北米方面の直航航路の便数は全体として減少したものの、国際コンテナ戦略港湾政策としてさまざまな施策を講じてきたことで国際フィーダー航路が充実したと総括。「長距離方面貨物の国際戦略港湾への集貨が拡大するとともに、17年と18年の北米西岸航路の新規開設や今年5月の欧州航路再開など着実に成果が上がりつつある」と評価した。
今後は欧州・北米航路をはじめ中南米・アフリカなど多方面・多頻度の直航サービスを充実させることを政策目標に「Cargo Volume(貨物量)」「Cost(コスト)」「Convenience(利便性)」の3要素を備えた国際コンテナ戦略港湾を目指し、重点的・効率的な集貨やコンテナターミナルの生産性向上、港湾の完全電子化をはじめとした「集貨」「創貨」「競争力強化」の取り組みを引き続き推進する方針だ。
(鳥羽俊一)
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