国交省と運営会社、地元4自治体が出席、25年度末にめど立てられるよう緊密連携確認
政府と成田国際空港会社(NAA)、同空港の地元4自治体は5月28日、成田空港内のNAA本社で、同空港の機能強化に向けNAAが計画している滑走路の新設・延伸を着実に実現するため、用地確保の具体策を検討する「成田空港滑走路新増設推進協議会」の初会合を開いた。
協議会は国土交通省航空局長とNAA社長、千葉県知事、成田市長、芝山町長、多古町長の6人が参加。初会合では新設・延伸する滑走路の供用を2028年度末に開始するとの目標達成のため、25年度末には必要な用地全ての確保にめどを立てられるよう参加者が緊密に連携していくことで一致した。
具体的には、地権者への対応、移転する住民に提供する代替地の確保、地権者が持つ墓地の移設に関わる行政手続きの推進、埋蔵文化財調査の確実な実施などを引き続き進めていく方針を確認。政府やNAAから地元自治体に協力を求めた。
初会合の冒頭、NAAの田村明比古社長は「(滑走路の延伸・新設は)中長期的な航空需要に対応するため国にとっても非常な事業であり、空港と地域がともに発展していく上で必要不可欠な事業だ」と強調した。
初会合の様子
成田空港は外国人観光客の増加や貨物取り扱いの伸びに伴う航空需要拡大に対応するため、2029年に発着枠を現行の年間30万回から50万回まで引き上げることを計画している。その前提として、既存のB滑走路を現行の2500mから3500mに伸ばすとともに、新たに3500mの「C滑走路」を設置する予定。5月25日には本格的な工事を始める着工式を開催した。
ただ、NAAによれば、滑走路の延伸・新設などに必要な用地約1100haのうち、現時点で確保できているのは約900haで、1割強で確保のめどが立っていない。
初会合の後、メディア各社の取材に応じた田村社長は「国、県、市町の皆様にいっそうのお力沿えをいただく必要がある。ある程度定期的に情報交換、意見交換をさせていただき、緊密に連携、協力していろんなことを着実に前へ進めていきたい」と語った。
国交省航空局の川島雄一郎首都圏空港課長は「協議会が開催されたことは非常に喜ばしく思っている。これを機に、市町の皆様と連携を強化しながら取り組みをしっかり進めていきたい」と述べた。
千葉県の熊谷俊人知事は「協力すべきことを協議の場でしっかり共有しながら、2028年度末の供用開始という大きな目標に向かって、県としてもできる限りの協力をしていきたい」と訴えた。
成田市の小泉一成市長は「空港周辺地域の発展、千葉県の発展、国の成長にも結び付くと認識している。28年度末の目標へ用地確保がまずは大きな肝の部分だと思っている」と指摘した。
芝山町の麻生孝之町長は「予定通りの供用開始となるよう、関係者と緊密に連携を取りながら地元自治体としてしっかり責任を持って取り組みたい」と話した。
多古町の平山富子町長は「成田空港の機能強化はまちづくりにとって大変重要。しっかりと情報共有を図り、緊密に連携し、用地確保は地元自治体として用地交渉や代替地確保などを、いままで以上に協力していきたい」とアピールした。
メディアの取材に応じる(左から)多古町・平山町長、成田市・小泉市長、千葉県・熊谷知事、NAA・田村社長、国交省・川島課長、芝山町・麻生町長
(藤原秀行)