帝国データ調査、年間2万品目超えの可能性高まる
帝国データバンクは5月30日、今年6月以降の主要食品メーカー195社の値上げ動向と展望・見通しに関する分析結果を公表した。
6月の飲食料品値上げは合計で1932品目に上り、前年同月の623品目から約3倍に増えた。2025年通年の累計品目数は10月までの公表分で1万6224品目に達し、24年通年の実績(1万2520品目)を既に3割ほど上回っている。年間で2万品目を超える可能性が高まった。
帝国データは「飲食料品の値上げの勢いは、前年に比べて強い状態が続いている」と指摘。今後の動向次第では、年間ベースで飲食料品の値上げラッシュが本格化した2022年(2万5768品目)に並ぶ水準に到達する可能性があるとみている。
品目数および値上げは、各社発表を集計しており、年内に複数回値上げを行った品目は、それぞれ別品目としてカウントした。値上げ率は発表時点における最大値を採用した。価格据え置き・内容量減による「実質値上げ」も対象に含んでいる。
6月の飲食料品値上げ1回当たりの平均値上げ率は14%。単月の値上げ品目数としては2カ月ぶりに1000品目を突破した。また、1月以降、6カ月連続で前年同月を上回り、連続増加期間としては記録的な値上げラッシュの1年となった2023年6月以来、2年ぶりの長さに到達した。
6月の値上げを食品分野別に集計すると、カレールウなど香辛料のほか、だし製品などを中心とした「調味料」(962品目)が最多となった。「加工食品」(755品目)は即席めんのほか、不作により供給量が大幅に減少している海苔製品、コメ高騰を背景としたパックごはんの値上げが目立った。「乳製品」(106品目)は、乳価改定の影響を受けて加工乳やヨーグルトなど発酵乳、クリームなどの製品が中心だった。
10月発表分までの累計を食品分野別に見ると、カレールウなどの香辛料製品やだし製品を中心とした「調味料」(5446品目)が最も多く、冷凍食品やパックごはん、海苔などの「加工食品」(3813品目)が続いた。また、「酒類・飲料」(3485品目)は清涼飲料水に加え、原料米の価格上昇で清酒製品が約2年ぶりに値上げとなり、23年以来2年ぶりに3000品目を超えた。
値上げ要因では、原材料の価格高騰に加え、光熱費の上昇による生産コストの上昇、人手不足による労務費の上昇、物流費の上昇などが複合的に重なった。原材料など物由来(「原材料高」)の値上げが全体の98.0%を占め、前月調査時(97.9%)から拡大した。
人手不足に伴う昇給・賃上げによるコスト増を背景とした「人件費」(53.6%)は、要因別の集計を開始した23年以降で最高を記録。特に6月以降の値上げを中心に電気・ガスなど「エネルギーコスト(光熱費)」由来の値上げで上昇が続き、年間で66.7%を占めた。
近時はコメ品薄の影響による食品の値上げが目立ち、原料米の価格高騰に由来する値上げは2025年6月実施分のうち概算で100品目を超え、約6%を占めた。
(藤原秀行)※いずれも帝国データバンク提供