「暑さ指数」一定以上などの現場対象
政府は6月1日、一定の条件を満たす現場作業を対象に熱中症対策を義務化し、違反した場合は罰則を科す改正労働安全衛生規則を施行した。
夏場の猛暑が恒常化し、現場作業中に熱中症で亡くなる人が相次いでいるため、政府は規制を強化し、対策を徹底したい考えだ。
今回の改正は対策義務化の対象として、気温や湿度などから熱中症のリスクの高さを算出する「暑さ指数(WBGT)」が28度以上か、気温が31度以上の環境下で、連続1時間以上もしくは1日4時間以上の実施が見込まれる現場作業と定義。
熱中症の恐れがある人や熱中症の自覚症状が出ている人を現場で早期に発見、対応できるようにするため、事業所ごとに緊急の連絡先や担当者、搬送先などをあらかじめ明確に示しておくとともに、重篤化を避けるため作業から離したり体を冷やしたりするなど対応の手順を作成し、周知することを義務付ける。
守らなかった場合は企業や代表者らに6月以下の懲役または50万円以下の罰金を科す。
厚生労働省の集計によると、職場で仕事をしている際に熱中症になった人は2023年度が1106人で、このうち亡くなった人は31人に達した。
死去したケースの大半は、発見が遅れたり、医療機関に搬送しなかったりと「初期症状の放置・対応の遅れ」が原因となっていたことから、政府は対策強化に乗り出した。
(藤原秀行)