災害時の物資輸送などに投入想定
エアロセンスは6月4日、内閣府主導で創設、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が推進する経済安全保障重要技術育成プログラム(K Program)の研究開発構想(プロジェクト型)「災害・緊急時等に活用可能な小型無人機を含めた運航安全管理技術」に、同社が2023年に採択されて以降開発を進めてきた新たな災害救助用VTOL(垂直離着陸型固定翼)型無人航空機(AS-H1)の試作機が完成したと発表した。
AS-H1
ペイロード13kg、最長250km(10kgのペイロード積載状態で最長120km)の飛行が可能で、耐風と防水性能も強化し、横風20m/sの雨天時の悪天候でも安定して飛び続けられるという。
安全性能も向上させ、機体の前方に搭載したレーダーが障害物を検知し、衝突を回避する機能も装備。災害・緊急時などで活躍できると見込む。
JSTは今後、大型VTOLを災害救助用の物資輸送などを行う機体と位置付け、有人機と連携して運用を開始する予定。
プロペラやシステムの多重化により安全性が向上。万一のトラブル発生時でも安全な飛行が可能
エアロセンスは大型化を果たした機体の特徴を生かし、より高精度な測量や撮影、過疎地や島しょ間の物流などにも活用することを想定している。
さらに、同機による「レベル4」飛行(人口密集地上空で補助者無しの目視外飛行)の運用を目指し、6月2日に国土交通省が第一種型式認証の申請を受理、現在審査している。
同機を活用し撮影データなどを顧客に提供する役務業務の機会獲得の活動を開始し、機体販売の予約も6月に始める。他にもパートナー企業を募り、共同で機体改良や運用も行う予定という。現行機のエアロボウイングに加え、ハイエンド機体としてラインアップに追加し、海外への事業展開を見据えた活用や販売も想定している。
AS-H1の主な仕様
機体名称 |
AS-H1 |
外形寸法 |
3.9 x 2.7 x 1.0 m(全幅 x 全長 x 全高) |
機体重量(バッテリー含む) |
57 kg |
最高速度 |
120 km/h(34m/s) |
巡航速度 |
80km/h(22m/s) |
バッテリー |
15S3P‐32400mAh x 4(BMS対応) |
飛行時間 |
1.5時間 @飛行高度1000m、ペイロード10kg搭載時 3.4時間 @飛行高度100m、ペイロードなし |
飛行距離 |
120km @飛行高度1000m、ペイロード10kg搭載時 250km @飛行高度100m、ペイロードなし |
最大搭載可能重量 |
13kg |
防塵・防水 |
IP45 |
耐風性能 |
・巡航時 固定翼モード:20m/s ・離着陸時、固定翼への遷移時、マルチコプターモード 向かい風、横風:20 m/s 追い風: 13 m/s |
離発着場所要求 |
10 m x 10m |
使用温度範囲 |
-20~45℃(バッテリー含まず) |
安全性向上機能 |
前方安全確認(可視カメラ、赤外線カメラ、250mレーダー) 下方安全確認(可視カメラ、100mレーダー) BLDCモーター x 10 (MC用 x 8, FW用 x 2) 電池4並列化 フライトコントローラー2系統化 対気速度センサー 2機搭載 パラシュート搭載(検討中) |
付帯機能 |
夜間飛行、長距離無線通信システム |
型式認証 |
第一種型式認証審査中 |
生産国 |
日本 |
(藤原秀行)※いずれもエアロセンス提供