カゴメの幹線輸送で積載率常時9割強を実現
積み付け作業迅速化で車両の早期確保も可能
全国の工場から物流センターに商品を送る幹線輸送はトラックドライバー不足や「物流2024年問題」の影響で、車両確保がさらに難しくなることが見込まれていたため、ネットロックシステムの新たな積み付け最適化システムを導入。高い積載率の維持で成果を上げている。(本誌編集部)
「精度」と「柔軟性」強化を重視
━━御社の物流の現状から教えてください。
池田洋平 SCM本部 物流企画部長「本社のSCM部門が全国の工場から物流センターへ商品を届ける幹線輸送の車両手配などを手掛けており、輸送ルートは60~70に上ります。輸送業務の多くは当社や他の食品メーカーさんが共同で設立したF -LINEさんに依頼しています」
━━KPI(重要業績評価指標)として積載率を重視しているそうですね。「2024年問題」を意識されてのことでしょうか。
池田「確かにそれは無視できませんが、当社はかなり以前から幹線輸送が製造業のサプライチェーンの根幹を占める重要な領域だと認識し、自社で管理することにこだわってきました。当社の工場は各地の物流センターと離れており、輸送手段確保の難易度が高いことから、車両は早めに手配しておく必要があります。そのため必要車両数を算出する仕組みについては、とりわけ精度と速度が求められます。そのツールとして2010年ごろからトラックへの最適な積み付けを自動計算するシステムを利用し、積載率向上に努めてきました」
池田氏
━━今年3月に新たな積み付け最適化システム「バンニングマスター」を採用し、本稼働を始めたとのことですが、刷新した狙いは?
池田「トラックドライバー不足の影響で年々、車両を確保するのが難しくなってきました。2024年問題で今後さらに状況が厳しくなることが見込まれたため、一層の効率化と変化への対応力強化を情報システムの切り口から目指すことにしました」
峯苫洋一 SCM本部物流企画部移動・在庫グループ専任課長「16年の後半ごろから物流費が上昇し、対応を迫られたことも積載率をもう一段上げていこうと思い至った要因です」
池田「新たなシステムを選ぶ上で、より積載率を高められる『業務精度の向上』と、環境変化へ迅速に対応できる『柔軟性の強化』という二つの点を重視しました。そこでさまざまなベンダーさんに相談した結果、ネットロックシステムさんの提案が最も当社の要求に合致しました」
峯苫氏
━━新システム採用の効果は?
峯苫「以前も1台当たりの積載率は重量ベースで平均9割超に上っていたのですが、実際は旧システムが割り出した積み付け結果をさらに複数の担当者が毎日1人当たり1時間ほどかけて手計算で修正していました。新しいシステムは自動計算した段階で既に94%台の積載率を実現しており、そこから手作業での修正で96%程度まで引き上げています」
「システム画面もわれわれの細かい注文にネットロックシステムさんが応じて操作性を高めてくれたおかげで、1日当たりの作業時間を担当者トータルで2時間短縮できました。70ルート分を3分程度で完了する計算速度も時間短縮に貢献しています。担当者のモチベーション向上にもつながっていると思います」
━━運用面でも工夫されたのでしょうか。
峯苫「新システムは当社の販売計画、在庫計画などの計画系システムと連動しています。工場から出荷する2日前にまず出荷予定データから積載シミュレーションを実施して車両台数を決定、手配します。そして出荷の前日に最新の出荷確定データを基に再度積み付け計算し、積載率を最大化しています」
「あらかじめ積載の明細を可視化できていますから、急な物量の増減があっても空いたスペースを別の商品で補うなど柔軟に対応できるようになりました。自動計算の際にはシステムが優先度の高い商品を先に積み付けるなどの配慮もしてくれますし、助かっています。他にもさらに早く車両を確保する仕組みがあり、繁忙期の欠車率も大きく減らせそうです」
池田「当社のSCM部門は幹線輸送の領域にかなりこだわりが強い方だと思いますが(笑)、ネットロックシステムさんがわれわれの細かい要望に対応してくれたのは非常に大きいですね。F -LINEさんからも早めに車両の種類や台数を確定できることなどに好評をいただいています」
BCP対応でも意義は大きい
━━積み付け最適化システムと御社の計画系システムとの連動は有効に機能していますか。
島村智子 SCM本部物流企画部移動・在庫グループ課長「当社のデータを使うことで1~2カ月先までの中長期的な積載率を予測し、輸送量を平準化してスポット輸送の車両を抑えるといった運用も可能になります。新システムは積載効率改善で効果を発揮しますが、販売の状況を見ながら輸送量を調整することで間接的に物流センターの在庫数量を調整し、保管費用を最適化できるというメリットもあるんです。新システムの費用対効果は非常に大きいと思います」
島村氏
━━BCP(事業継続計画)の観点からも、平常時に積み付けの最適化を定着させておくことは意義がありそうです。
峯苫「その点はわれわれも意識しました。災害などの際、仮に担当者が業務に当たることができなくても、この仕組みが自動で動いていれば9割以上の積載率で輸送を維持できる。システムがクラウドという点もBCP対応では重要だと思います」
━━新システムの活用シーンはまだまだ広がりそうですね。
島村「まずはわれわれがシステムをしっかり使いこなせるようにした上で、中長期的に安定的な商品供給と物流コストの最適化を両立させられるようにすることが目標です。そして、このシステムが当社以外にも広く使われるようになってほしいですね」
トラック運送の効率化をITで実現
荷物のサイズ情報から、トラックやコンテナへの最適な積載方法を瞬時に自動計算。積荷のサイズ・重量・強度を考慮しながら、同一製品のまとめ積みや、積み込み・荷降ろしの順序といった現場の要件にも柔軟に対応する。効率的かつ安全な積載プランを実現し、積載率の向上と作業時間の短縮に貢献する。オンプレミス版とウエブ版の両方に対応し、カスタマイズがなければ2〜3カ月程度のテストを経て短期間で導入が可能。無料のシミュレーション(https://asp.vanning-master.jp/demo)も提供している。
お問い合わせ先
ネットロックシステム株式会社
〒108-0073 東京都港区三田4丁目8 番41号 NTGビル
TEL:03-6825-7403
https://www.nl-system.jp/
私がご相談に乗ります!
ネットロックシステム 胡 世梅 取締役