製造業や物流業の現場自動化支援強化図る
パナソニックコネクトは6月30日、横浜市内の拠点で記者会見し、製造業や物流業の現場自動化支援を強化すると発表した。
同社傘下でサプライチェーンの業務効率化支援ソフト大手、米Blue Yonder(ブルーヨンダー)と組み、同日から工場や倉庫などの業務自動化を後押しする「ロボット現場導入サービス」の提供を開始した。
具体的なソリューションとして、ブルーヨンダーのソフトなどを活用し、ロボットや自動化機器を効率的に運営できるよう企業をサポートする。さらに、異なるメーカーの多様なロボットや自動化機器を一元的に制御し有効に稼働させることで導入効果を高めるシステム「ロボット制御プラットフォーム」の運営を今年10月に始める。
ユーザーはパソコンの画面上で現場に配備するロボットの各種動作の手順をノーコードで容易に作成できるのが特徴。工場や倉庫にロボットを複数台導入する際、ロボット制御システムを活用すれば、迅速かつ効率的にそれぞれのロボットが作動できるようになると見込む。また、主要な動作をあらかじめテンプレートとしてシステムに組み込んでおり、ロボットや自動化設備の用途変更も簡単に済ませられるよう配慮している。
ロボット制御プラットフォームの画面。各動作を調整することで容易に作業を完成させられる
実際にパナソニックグループの工場など6拠点でロボット制御プラットフォームを利用、ロボットの導入期間短縮などで成果を上げているという。
パナソニックコネクトはロボット制御プラットフォームを使うことで、ロボット採用の企画から実際の導入までの期間を最大50%削減できると想定。中小の物流事業者などに利用を働き掛けていく構えだ。
ロボット制御プラットフォームの展開に際しては、既に自動倉庫などの面で協業しているラピュタロボティクスに加え、ファナック、ユニバーサルロボット、DOBOT、オリックス・レンテックといったロボットメーカーやSier、販売・レンタル会社計12社がパートナーとして参加。顧客企業の現場の実情に合った自動化ソリューションを提供できるよう協力する。パナソニックコネクトは他のロボットメーカーなどにも参加を呼び掛ける。
10月以降、ラピュタの自動倉庫システム「ラピュタASRS」に、他のロボットメーカーのピッキングロボットなどを簡単に追加で設置、連動させられるようにすることを予定している。物流量の波動に合わせて柔軟にピッキングロボットなどの台数を変えることが可能になる見通し。
ラピュタの自動倉庫に、他のメーカーのロボットアームなどを容易に連動させられる
会見に臨んだパナソニックコネクトの執行役員 シニア・ヴァイス・プレジデント 榊原彰氏は「倉庫やロボットの高い作業精度をそれほど必要としない生産現場にロボット制御プラットフォームを提供していきたい」と語った。
ロボット制御プラットフォームに関しては、工場や倉庫で特定の工程を自動化できるかどうかや投資対効果がどの程度かをすぐに可視化する機能も、10月から試験的に運営する予定。
会見に登壇した(左から)パナソニックコネクト・榊氏、牛島敏SaaSビジネスユニットダイレクター、ラピュタロボティクス・モーハナラージャー・ガジャンCEO(最高経営責任者)、パナソニックコネクト・橘弘之技術研究開発本部ソリューション開発研究所ソリューションビジネス開発統括ダイレクター
(藤原秀行)