協業開始、より実態に即した浸水被害マップの作成目指す
防災テックのスタートアップSpectee(スペクティ)と天候や昼夜を問わず観測が可能な小型SAR(合成開口レーダー)衛星の開発・運用、SARデータの販売・ソリューションの提供を手掛けるSynspective(シンスペクティブ、東京証券取引所グロース市場上場)は7月10日、災害対応の迅速化・高度化を目的とした協業を開始したと発表した。
近年は気候変動の影響で自然災害が激甚化・頻発化しているのを受け、両社の浸水解析技術を融合させ、より詳細に被害状況を把握できるようにすることを目指す。
Synspectiveは、小型SAR衛星「StriX」で天候や時間帯に左右されず広域の地表面を観測し、浸水被害を解析するソリューションを提供している。
SpecteeはAI技術を用いてSNS情報から災害・危機管理情報をリアルタイムに抽出し、その位置情報や被害の様子を可視化するサービスで国内トップシェアを持つ。ただ、SAR衛星による観測だけでは、ビルや住宅が密集する都市部など、局所的・詳細な被害状況の把握には課題があった。
広域を捉える「宇宙の眼(SAR衛星)」と、ピンポイントの状況を捉える「地上の眼(SNS情報)」を組み合わせることで、災害対応能力を飛躍的に向上させたい考えだ。
具体的には、SAR衛星データから得られる広域の浸水範囲と、Specteeが収集・解析したSNS上の現場の被害情報(画像、動画、テキストから得られる浸水の深さや状況など)やリアルタイムに浸水の影響範囲を地図上に表示する「リアルタイム浸水推定」を統合する。
両社の浸水解析結果を突き合わせることで、SAR衛星だけでは判別が難しかった住宅密集地などの浸水状況を補完し、より実態に即した、浸水被害マップを作成できるようにすることを計画している。
(藤原秀行)※いずれも両社提供