自動運転トラックと貨物鉄道の連携輸送第2弾、関東~九州間で初の「往復」実施へ

自動運転トラックと貨物鉄道の連携輸送第2弾、関東~九州間で初の「往復」実施へ

東洋製罐グループなど参加、飲料用紙コップなど取り扱い

自動運転トラックの実用化を目指すT2とJR貨物、東洋製罐グループホールディングス(GHD)傘下で物流事業を手掛ける東罐ロジテック、全国通運の4社は7月11日、自動運転トラックと貨物鉄道を組み合わせた「モーダルコンビネーション」の実証を、7月14日に関東~九州間で開始すると発表した。

T2とJR貨物が連携して行うモーダルコンビネーションの実証は6月に行った雪印メグミルク向け輸送に続いて2回目。初めて「往復」で実施し、T2が開発した「レベル2」(ドライバーが同乗しトラブルがあればすぐに運転を代わる)自動運転トラックを用いて、同じく東洋製罐GHD傘下の東罐興業が取り扱っている飲料用紙コップなどの紙・プラスチック製容器を輸送する。

 
 

さらに、T2が2027年からの開始を目指している、特定条件下での完全自動運転が可能な「レベル4」自動運転トラックを用いたモーダルコンビネーションも視野に入れ、国内初の新たな輸送モデルの確立を目指す。

モーダルコンビネーションの取り組みは、 地球環境問題への対応や物流業界の労働環境改善、労働力不足の解消など、持続可能な物流の実現を目指し、2024年11月から日本通運・全国通運・日本フレートライナー・JR貨物・T2の5社で検討を進めてきた。

貨物鉄道輸送の全国ネットワークと、T2が有する自動運転トラック技術を融合させ「自動運転トラック×貨物鉄道」のモーダルコンビネーションを実現することで、自動運転区間における輸送ルートの複線化を構築するほか、柔軟な輸送力の増加を可能とするなど、物流の可能性を広げることを目的としている。今年6月の第1弾は北海道~関西間で輸送を完了した。

今回の実証は第1弾の際と同様、JR貨物とT2で共同開発した、モーダルコンビネーションの際に貨物列車からT2のトラックへ直接載せ替えが可能となる31ftタイプの共用コンテナを用い、東罐興業が取り扱っている紙容器とプラスチック製容器を運ぶ。

往路は、東罐興業の厚木工場(神奈川県)から大阪府までをT2の自動運転トラックで幹線輸送し、大阪府から福岡県までをJR貨物の貨物列車で輸送する。

復路は、福岡県から大阪府までを貨物列車で輸送し、大阪府から東罐ロジテックの北関東営業所(埼玉県)までを自動運転トラックで届ける。全通は、貨物駅と顧客の拠点間の集貨・配達を担当する。

 
 

本実証の詳細
実証開始日:2025年7月14日

対象区間:関東⇔九州の発着地(オペレーション全体としての対象)

往路

担当企業(輸送手段)

担当区間

T2(自動運転トラック)

東罐興業厚木工場(神奈川県)

→大阪貨物ターミナル駅(大阪府)の高速道路およびIC前後の一般道

JR貨物(貨物列車)

大阪貨物ターミナル駅→福岡貨物ターミナル駅(福岡県)

全通(一般のトラック)

福岡貨物ターミナル駅→東罐興業福岡工場(福岡県)

復路

担当企業(輸送手段)

担当区間

全通(一般のトラック)

東罐興業福岡工場→福岡貨物ターミナル駅

JR貨物(貨物列車)

福岡貨物ターミナル駅→大阪貨物ターミナル駅

T2(自動運転トラック)

大阪貨物ターミナル駅

→東罐ロジテック北関東営業所(埼玉県)の高速道路およびIC前後の一般道

参加企業と役割

参加企業

役割

東罐ロジテック

商品輸送における実証への協力および商品輸送後の品質検証

全通

集貨・配達

JR貨物

貨物鉄道区間での輸送および検証

T2

高速道路・専用道路における自動運転輸送および検証

実証内容:
・貨物列車からT2のトラックへの共用コンテナの積み替え作業の検証
・関東ー九州間における一貫オペレーションの検証
・自動運転トラック輸送区間を中心とした輸送品質の検証

 
 

※実証時の自動運転トラック運行はドライバーが乗車して行う


今回輸送する東罐興業の紙・プラスチック製容器


T2のトラックへ共用コンテナを積み替える様子

(藤原秀行)※いずれもT2提供

テクノロジー/製品カテゴリの最新記事