富士海運、省エネ技術や航行支援システム搭載した新造船のセメント運搬船竣工

富士海運、省エネ技術や航行支援システム搭載した新造船のセメント運搬船竣工

航路選定から船速の自動調整まで一元管理可能

山口県に拠点を置きグループでエネルギー関連や陸運・内航海運などの事業を展開いている富士商グループホールディングス(山口県山陽小野田市)は7月16日、傘下の富士海運で最新鋭のセメント運搬船「竜王(RYUOH)」が6月27日に竣工したと発表した。

本船は富士海運が船舶管理を手掛け、東海運が実際の運航を担当する。三浦造船所(大分県佐伯市)で建造、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構との共同事業として開発した。



「竜王」は、環境負荷の低減と運航効率の向上を追求した次世代型の内航貨物船で、太平洋セメントのセメント輸送に従事する。全長113.25m、総トン数5271トン、載貨重量7505トンで、最新鋭の省エネ技術と先進的な航行支援システムを多数搭載し、内航輸送業界における環境対応・船員の働きやすさを両立した新しいモデルケースとして注目を集めている。

阪神内燃機工業製の低速4サイクル主機「LH46LAES」を搭載。吸気弁の早閉じと電子制御燃料系統によるミラーサイクル運転を採用し、NOx(窒素酸化物)の排出低減と優れた燃費性能を両立している。

推進装置には新型高効率可変ピッチプロペラを採用し、低摩擦の船尾管軸受と非接触型摩耗センサも搭載。プロペラ軸出力のエネルギー消費を大幅に低減できると見込む。

気象ビッグデータと連携した最適航海支援システムを採用し、航路選定から船速の自動調整まで一元管理。常にベストなコンディションで航行できるようにする。燃料消費の最小化と定時運航の両立が可能となり、運航効率を飛躍的に向上させられると想定している。

荷役設備にはスペロセイキ製の圧送装置(500t/h×2)と、スクリューコンベヤーを縦横に配置したシステムを採用。多品種・高品質なセメントの安全かつ迅速な積み降ろしを実現できると見込む。荷役の制御運転にも重点を置き、品質管理と作業の安全性向上を並行させている。

船内の居住エリアには全室バス・トイレ付の個室を完備。トレーニングルームを設けるなど、長期乗船でも快適に過ごせる環境を備えている。



(藤原秀行)※いずれも富士商グループホールディングス提供

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