25年度中にアジア太平洋地域へ進出計画
企業向けにAIを活用した契約書の審査・管理支援サービスなどを展開しているLegalOn Technologies(リーガルオンテクノロジーズ)は7月24日、東京都内の本社で今後の事業戦略に関する記者説明会を開催した。
角田望CEO(最高経営責任者)は、AIによるリーガルチェック(適法性確認)サービスの需要増加が見込まれるのを踏まえ、新システム開発など取り組みを強化するため、ゴールドマン・サックスやみずほ銀行などから総額71.4億円を調達すると発表。併せて、みずほと同行や同行顧客のDX支援で連携を強化することも明らかにした。新たな協業を検討する。
資金調達にはゴールドマンとみずほのほか、商工組合中央金庫(商工中金)、ベンチャーキャピタルのWiL、森・濱田松本法律事務所も参加。第三者割当増資や負債性優先株式発行などを実施する。各社からの調達額の内訳は開示していない。LegalOn Technologiesの累計調達額は約286億円に上る。
新たな取り組みとして、契約書の修正提案や契約条項の要約、専門用語解説などを質問・依頼すると生成AIが自動回答するサービス「LegalOnアシスタント」の機能を8月以降、順次拡張。弁護士が監修する法務特化型のAIエージェント(AIによる課題解決支援機能)として、顧客の企業がより専門的で複雑な課題に対応できるようにする。
LegalOn Technologiesはこのほか、米Open AIと戦略的な連携を開始し、自社のサービス水準向上を図ることを公表。LegalOn Technologiesが自社で開発したAIエージェント「Sela(セラ):AI営業アシスタント」を営業組織に導入し、営業担当者が商談中でも顧客から届いたメールの内容を分析、必要かつ適切な返信を自動で行えるようにして、営業活動の生産性を10倍に高める方針も打ち出している。
会見で角田CEOは既に事業を展開している米国や英国などに加え、2025年度中にアジア太平洋地域にも進出する方針を表明。「グローバルでナンバーワンのリーガルAIカンパニーを確立したい」と強調した。
会見に同席したみずほの石川卓副頭取執行役員は「(LegalOn Technologiesとの連携強化で)社会課題の解決につながるサービスを広くあまねくお客様に届けられるようになる」と期待を示した。
撮影に応じるLegalOn Technologiesの角田CEO(左)とみずほの石川副頭取
(藤原秀行)