27年下期にシンガポール沖合など想定、早期実用化図る
商船三井は8月19日、伊藤忠商事と、船から直接船にアンモニア燃料を供給する「アンモニアバンカリング」の実用化に向け、連携すると発表した。実証などを共同で進める覚書を締結した。
2027年下期に実船を用いて、シンガポール沖合などで実証を行う予定。海運業界で温室効果ガス排出削減効果への期待が高まっているアンモニアの利用を広げるため、アンモニアバンカリング船やアンモニア燃料船の早期実用化を図る。
国際海事機関(IMO)は「2050年頃までに国際海運からの温室効果ガスの排出をネットゼロにする」との国際目標達成に向け、今年4月に中期施策として条約改正案を承認。舶用燃料を段階的に排出量の少ない代替燃料に転換する制度や、ゼロ・エミッション燃料船導入に対して経済的インセンティブを与える制度を含んでおり、発効すると排出量の少ない代替燃料供給に向けた取り組みや、ゼロ・エミッション燃料船の導入が加速すると見込まれる。今回の取り組みもその一環。
商船三井は、中国船舶集団青島北海造船有限公司で世界で初めて2026~27年に竣工する見通しのアンモニア二元燃料ケープサイズバルカー3隻を、ベルギーのCMB.TECHと共同保有の上、定期用船を実施する。
一方、伊藤忠商事は今年6月に世界初となる新造5000㎥型アンモニアバンカリング船を発注、佐々木造船が建造中で27年の竣工を計画している。
両社はアンモニアバンカリングを実証し、洋上で安全な舶用アンモニア燃料の供給オペレーションを確立することを目指すとともに、シンガポールなどの主要な海上交通要所でアンモニアバンカリングを事業化していきたい間あげ。
2050年までのネットゼロ・エミッション実現に向けIMOなどが描くシナリオ(商船三井提供)
(藤原秀行)