国交省「社員に安全意識徹底されず」と批判
国土交通省は9月10日、日本航空(JAL)に対し、国際線の機長が乗務前日に飲酒し計3便を遅延させた問題を受け、厳重注意した。併せて、9月30日までに再発防止策を報告するよう指示した。
国交省やJALによると、当該の機長は今年8月、ハワイのホノルル発中部国際空港行きの便に乗務する予定だったが、乗務の前日に滞在していたホテルで酒を飲み過ぎ、当日は体調不良を訴えたため飲酒が発覚、搭乗を取りやめた。その結果、当該の便を含めて計3便に最大約18時間の遅れが発生した。
当該の機長は、JALが昨年12月に内規で乗務員に滞在先で酒を飲むのを禁じた後も複数回、飲酒していたという。
JALは近く当該の機長を懲戒解雇する。
JALは昨年12月にも、オーストラリアのメルボルン発成田空港行きの便に乗務した機長と副機長が搭乗の前日に社内の規定を超えた量を飲酒していたことが判明。国交省が業務改善勧告をJALに出していた。
国交省は今回の厳重注意で「個人的な悪質性があったと認められるとともに、貴社における飲酒に関する管理監督が十分であったとは言えない。また、貴社において昨年から繰り返し飲酒事案が発生していることは、社員一人一人に安全意識が徹底されていないと言わざるを得ない」と批判した。
JALは9月10日、「業務改善勧告を受け、再発防止策を進めていたにもかかわらず、今回の事案を発生させてしまったことを極めて重く受け止めております。お客さま、関係する皆さまに対し、多大なるご心配とご迷惑をおかけしましたことを深くおわび申し上げるとともに、本事案に関して、要因分析の上、抜本的な再発防止策を講じてまいります」と謝罪するコメントを発表。
再発防止に向け、飲酒のリスクが高い乗務員を搭乗させないなどの対策を進める考えを示した。
(藤原秀行)