公取委、独禁法違反認定し排除措置命令も
公正取引委員会は9月24日、ダンプトラックやタンクローリー、ミキサー車など特装車の架装物を手掛ける極東開発工業と子会社の日本トレクス(愛知県豊川市)の2社に対し、架装物でカルテルを結んでいたとして、独占禁止法違反(不当な取引制限)で総額約59億2500万円の課徴金を2026年4月までに納付するよう命令した。
課徴金の内訳は極東開発が約26億円、日本トレクスが約33億2400万円。両社には併せて、再発防止を求める排除措置命令も出した。
公取委によれば、極東開発は同業の新明和工業と架装物についてカルテルを締結。また、別途、極東開発と新明和子会社の東邦車輛(横浜市)がトレーラー部分についてカルテルを結んでいたという。
新明和は公取委が調査を開始する前に、課徴金減免制度(リーニエンシー制度)で自主的にカルテルの件を報告したため、公取委は新明和側の2社への課徴金を免除し、排除措置命令も見送った。
公取委によると、極東開発と新明和は毎月1回、双方の部長級が参加した会合で架装物の販売価格などの情報を交換。原材料の価格高騰を踏まえ、遅くとも2022年2月までに、同年4月1日以降に販売する架装物の販売価格を引き上げることで合意した。
その後も、鋼材などの価格が引き続き高騰していたため、遅くとも23年2月までに、やはり同年4月1日以降に販売する架装物のうち、塵芥車(じんかいしゃ)に取り付けるものとテールゲートリフターの販売価格引き上げで一致していた。
一方、日本トレクスと東邦車輛は遅くとも21年9月以降、トレーラーの販売価格で同様に情報交換し、複数回にわたり販売価格の引き上げで合意していた。
極東開発は9月24日、「お客様やお取引先様、株主の皆様をはじめとする関係者の皆様に、多大なご迷惑とご心配をおかけしておりますことを、改めて深くお詫び申し上げます。今後は、グループをあげてコンプライアンスの徹底を図るとともに、内部管理体制を強化し再発防止に努め信頼の回復に取り組んでまいります」と謝罪するコメントを発表した。
同社は併せて、責任を取り、極東開発と日本トレクスの社長ら取締役と執行役員の月額報酬を3カ月間、30~10%自主返納することも公表した。
新明和も同日、「誠に遺憾であり、お客様、お取引先様、株主の皆様をはじめ多くの関係者の皆様に、長期にわたって多大なご心配とご迷惑をおかけしましたこと、衷心よりお詫び申し上げます」と謝罪する声明を発表。
新明和と東邦車輛の担当役員の月額報酬を一部減額する懲戒処分を科すことを開示した。
(藤原秀行)