27年後半竣工予定、港湾の脱炭素化に貢献目指す
川崎汽船は9月17日、連結子会社で港湾運送などを手掛けるシーゲートコーポレーション(広島市)が同日、曳船などを手掛ける金川造船(神戸市)と大容量リチウムイオンバッテリーを動力源とする電動タグボートの建造契約を締結したと発表した。
2022年7月に発表した建造計画に基づき、シーゲートは金川造船や機器メーカーと詳細な本船設計の検討を進めてきた。今般、新規開発の国産技術を導入することで本船機器の小型化・メンテナンス性能向上などが実現し、想定の仕様に達したことから本契約に至った。
本船は駆動モーターや旋回装置、電流制御方式などに国内曳船として初採用となる多くの新技術を含んでいる。2027年後半の竣工を予定しており、西日本最大級の化学コンビナートを背後に抱え、クリーン・エネルギー供給拠点への転換を目指す山口県徳山下松港に配備する予定。
同港湾に寄港する船舶の入出港作業・警戒作業に従事し、同港湾のカーボンニュートラルポート(CNP)形成を後押しする。
本船はハイブリッドEV方式を採用しており、リチウムイオンバッテリーを主体とした電気推進システムに、作業中のバッテリー残量不足を補うための発電機を備える。従来型の重油焚主機を搭載したタグボートと比較して、化石燃料消費量や二酸化炭素排出量を大幅に削減できると見込む。
このプロジェクトは経済産業省と国土交通省連携の令和7年度「運輸部門エネルギー使用合理化・非化石エネルギー 転換推進事業費補助金(内航船革新的運航効率化・非化石エネルギー転換推進事業)」に係る実証事業として採択されることが決まっている。
(藤原秀行)