川崎汽船グループ、風力活用して船を進める自動カイトシステムの開発フェーズ1が完了

川崎汽船グループ、風力活用して船を進める自動カイトシステムの開発フェーズ1が完了

張力やシステム性能で良好な結果確認、次は2年程度で試験完了へ

川崎汽船は9月4日、フランスに2024年1月設立した子会社OCEANICWING(オーシャンウィング)が手掛けている、風力を活用して船を進める自動カイト(凧)システム「Seawing」(シーウィング)に関し、開発の第1段階(フェーズ1)が今年6月に完了したと発表した。

陸上の試験場で300㎡サイズのカイトを使用して張力やシステムの性能を検証、良好な結果を確認できたという。



7月からは一段の技術確立と実用化に向け、開発の第2段階(フェーズ2)がスタートした。カイトのサイズをさらに大きくして陸上試験場で牽引性能と信頼性をチェックする。洋上での利用を見据えて操作性と安全性も評価した上で、川崎汽船が保有・運航する大型バルクキャリアで海上実証実験に踏み切る予定。

2年程度で試験を完了、実用化することを目標に掲げており、10%以上の燃料消費量削減効果を見込んでいる。

「Seawing」は風力を活用し、様々な船種で新造船と既存船のいずれにも搭載可能な汎用性を持つ計画。LNG(液化天然ガス)燃料船など燃料転換への取り組みとの相乗効果で、CO2排出量の大幅削減が可能になると見込む。

複数の種類がある風力推進補助装置(WAPS)の中でも「Seawing」は上空の風を使って、単体で得られる推力が比較的大きいのが特徴という。

欧州の航空機大手エアバスから分社化したフランスのAIRSEAS(エアーシーズ)が開発を進めていた、風力を使って船を進める「Seawing」事業をオーシャンウイングが24年2に承継した。


陸上試験場での実証試験の様子



(藤原秀行)※いずれも川崎汽船提供

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