国交省が最長160日間、委託費拡大で収益圧迫懸念
国土交通省は10月1日、集配時の点呼業務に不備があった日本郵便に対し、貨物自動車運送事業法に基づき、全国の計111郵便局の軽貨物車両計188台の使用を停止する処分を通知した。
処分は10月8日から効力を発する。使用停止期間は1台当たり15~160日間。
点呼不備は法定の内容を一部行っていなかったり、行っていないにもかかわらず記録上は実施したように改ざんしていたりした。国交省は今後も順次、他の郵便局に処分を通知していく予定。平均して毎週100局規模で処分が進んでいくとみられる。
同社は処分期間中、佐川急便や西濃運輸などの同業他社に業務を委託したり、近隣の郵便局から応援を得たりして車両使用停止による輸送力低下をカバーする構えだ。
ただ、日本郵便の社内調査では全国で集配業務を担う3188の郵便局のうち、約2400の郵便局で何らかの点呼不備を確認しており、国交省の処分対象となる郵便局も最終的に2000を超える可能性がある。
日本郵便は「処分を受けた対応をシミュレーションしており、オペレーションの混乱は生じないめどが立っている」(小池信也社長)と強調しているが、相当厳しい対応を長期間強いられることになる。今回の処分でも軽貨物車両が1台しかない郵便局で車両使用停止処分を受けているケースが複数ある。
日本郵便は同日、処分を受け「今回の行政処分等を厳粛に受け止め、運送事業者として、確実な点呼の実施をはじめ、運行の安全及びお客さま・運転者の安全を確保する体制構築を徹底し、信頼回復に全力で取り組んでまいります」とのコメントを発表した。
日本郵便は既に事業許可を国交省に取り消されたトラックなどの運送事業で、業務委託に要するコストが年間65億円程度増えるとみている。この数字には今回の軽貨物車両の影響は織り込んでおらず、今後さらにコストが膨らむ。
(藤原秀行)