人手不足深刻化や担当者の年齢上昇考慮、AI活用の書類自動読み取り精度向上など図る
双日傘下で情報システム開発などを手掛ける双日テックイノベーションは10月9日、東京都内の本社で今後の新サービスなどに関する記者会見を開催した。
この中で、貿易業務の自動化・効率化を支援するクラウドベースのサービス「Trade HUB」(トレードハブ)に関し、貿易現場の人手不足深刻化などの現状を踏まえ、より強力に展開していく方針を明らかにした。
Trade HUBは2024年度にサービス提供を始め、複数の企業が利用している。貿易書類をアップロードすれば運賃・関税費用の計算や書類作成、関連システムへの登録などを自動的に済ませる。
これまで展開してきた中で得た成果と明確になった課題を踏まえてサービスの完成度を高め、近くあらためて提供を本格化させる予定。
会見した同社アプリケーション事業本部事業開発部の木村悦司副部長は具体的な取り組みとして、AI-OCR(AIを活用した自動文字認識技術)を駆使して書類の内容をより高精度に自動でデータ化、貿易業務の効率を高めることに注力する方針を示した。
木村副部長は「伴走型の業務改革サービスとして現場から広がるデジタル化を後押ししていきたい」と狙いを強調。専門のメンバーが導入に際して顧客企業を入念にサポートすることをアピールした。
同社が実施した調査結果によれば、回答した企業の貿易業務担当者のうち、60歳以上の割合が約2割、50歳以上が5割など、人手不足に加えて年齢上昇が顕著になっていることが分かったという。
Trade Hubの機能を拡充して商社や製造業、物流業など多様な業種に採用を働き掛け、貿易領域のDXを加速させたい考え。
会見で同社の西原茂社長は「今後は顧客基盤や自社プロダクトを含めたソリューションを拡充し、新しい領域に踏み込んでいく」との見解を表明、物流などの業界にも提供していくことに強い意欲を見せた。
(藤原秀行)


