空撮や災害対応など想定
信濃毎日新聞社とドローン開発を⼿掛けるスタートアップのVFR(名古屋市)は11月4日、ドローン活用ビジネスを展開するための「包括的業務提携に関する基本契約」を10月29日付で締結しました。当面は、企業や個人から受注する空撮コンテンツの制作、社会に役立つ活用例を自治体とも協力してアピールする取り組みを始める。
VFRは災害対応、点検、物流など様々な産業分野での活用を想定したドローンの設計、開発、製造、販売、保守までを一貫して提供している。長野県内の金融機関が出資する「信州SSファンド」からの出資も受けており、国のSBIR(Smal/Startup Business Innovation Research)事業の補助金を受けて「安全性」「汎用性」「拡張性」を備えた高性能国産ドローンポートの開発・製造を進めている。
信濃毎日新聞社は暮らしや経済活動に役立つドローンの可能性に着目。メディアとしての発信力、地域との深い関係を生かしつつ、ドローン関連企業と連携・協業して新たなビジネス領域へ参入できないか、2024年から模索していた。
両社はそれぞれの強みを生かして協業することで、より大きく、ドローン活用による社会づくりに貢献できると判断、提携に踏み切った。

包括的業務提携に調印した信濃毎日新聞社の小坂壮太郎社長(左)とVFRの蓬田和平社長(信濃毎日新聞社撮影)
提携に基づき、信濃毎日新聞社が営業・事業管理・PRなどを担当し、VFRはドローンやパイロット(操縦・撮影)、技術面の情報などを提供することで、ドローン空撮によるコンテンツ制作と、ドローン活用を周知して活用の幅を広げる「社会受容性向上」事業などに参画することを想定している。
このうち、社会受容性向上事業に関しては、信濃毎日新聞社がVFRとの連携を前提に申請した事業計画が、長野県の「令和7年度次世代空モビリティ活用信州モデル創出補助金」に採択済み。この補助金を活用して、長野県内の企業団体にも幅広く呼び掛け、イベント「信州ドローン・フレンドシップ・デー(仮称)」開催やPR展開などを図る。

安曇野の上空を飛ぶVFR製ドローン(信濃毎日新聞社撮影)
他にも、ドローンの実証実験、防災・災害時・緊急時対応や、ドローンの性能向上・ドローンポートなどの技術開発への協力、取材・報道向けのドローン空撮・データ収集による情報発信の支援も行う予定。相互の人材育成への協力も行いながら、エンターテインメント事業や広告・イベント事業、新規事業・サービスの企画・開発にも取り組む。
(藤原秀行)


