三井住友ファイナンス&リース、「新リース会計基準」導入控え物流企業などの負荷軽減支援するSaaS開始

三井住友ファイナンス&リース、「新リース会計基準」導入控え物流企業などの負荷軽減支援するSaaS開始

契約書の内容を自動解析、期間推定

三井住友ファイナンス&リース(SMFL)は10月23日、財務会計基準機構で企業会計のルール策定などを担っている企業会計基準委員会(ASBJ)が上場企業と大手の非上場企業を対象に、2027年4月以降の事業年度から「新リース会計基準」を導入するのに伴い、対応を迫られる企業を支援するSaaSサービス「assetforce(アセットフォース)リース会計パッケージ」の提供を同日開始したと発表した。

新リース会計基準は対価を支払って特定の資産を一定期間使う契約は原則リースとみなす。これまでよりもリースに該当する契約の範囲が大きく広がるため、不動産の賃貸借契約などに関し、使用権の資産とリースの負債の両方を貸借対照表(B/S)に計上する必要が出てくるケースが相次ぐとみられる。



今回のルール変更は会計上の処理を見直すことが柱で、企業の経営自体が直接大きく変わるわけではないが、リースしている物を全てB/Sに計上すると場合によっては資産と負債の規模が大きく膨らみ、経営上の指標として使われているROA(総資産利益率、企業が総資産を駆使してどの程度利益を挙げたかを見る)や、財務の健全性を表す自己資本比率(総資本のうち純資産が占める割合。負債が増えると低下する)が悪化する可能性があるため、企業の経営判断に影響することがあり得る。

また、どこまでがリースに判断されるのか、既存の契約内容をチェックすることを強いられ、企業の財務担当者らにとっては負荷が増えることが危惧されている。

さらに、輸配送用の車両や船舶、倉庫などを借りている場合もリースと判断される可能性が出てくるため、物流企業にも影響が及ぶことが見込まれている。

新サービスはSMFLが2021年に提供を始めた企業の資産管理システム「assetforce」をベースに開発。AI-OCR(AIを活用した自動文字読み取り技術)と生成AIを活用し、個々の契約書の内容を自動で解析した上で、リース期間をシステムが推定する機能を搭載している。

契約内容をより効率的かつ正確に把握し、システムに格納。担当者の負荷を減らすことで企業が新リース会計基準に正しく対応できるよう後押しする。

SMFLが契約書自動解析の技術を使った結果、SMFLグループの不動産会社で入力作業が50%削減したという。他にも、契約変更時のリース負債と使用権資産の価値再測定などにも対応が可能。企業内で複数の部署関係者が契約書の情報を共有できるよう後押しする。



(藤原秀行)

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