「世界SCM競技会」、25年はセイノーHD傘下のMDロジスが初出場で2位獲得の快挙

「世界SCM競技会」、25年はセイノーHD傘下のMDロジスが初出場で2位獲得の快挙

ロジスティードや旭化成も昨年に続きトップ10内にランクイン

SCM・サプライチェーンに関する人材教育を手掛けているオランダのInchainge(インチェインジ)は11月3~14日、世界中の企業が参加して架空企業の経営改善に挑むコンテスト「世界SCM競技会(Global Professional Challenge)」の2025年大会の決勝を開催した。

各国予選に約500チーム・3000人以上、世界大会は10カ国から28チーム・120人以上が参加。セイノーホールディングス傘下の物流企業MDロジスのチームが初出場で世界2位に入る快挙を達成した。物流企業としてはトップだった。


MDロジスチームのメンバー(セイノーホールディングス提供)

世界1位は英国の消費者向けヘルスケア商品大手ヘイリオンの日本法人ヘイリオンジャパンのチームがランクインした。3位もヘイリオンのチームだった。

日本のチームはこのほか、4位にロジスティード、5位に旭化成がそれぞれ入った。ロジスティードは昨年、日本企業として初めて優勝を勝ち取っており、再び好成績を収めた。旭化成も昨年は3位と5位に選ばれていた。

米国の化粧品大手エスティ・ローダーやスイスの農薬大手シンジェンタといった世界的企業もトップ10以内に名を連ねた。

世界SCM競技会は参加したチームのメンバーが架空企業の調達やオペレーション(製造、倉庫)などの役割を担い、Inchallengeが独自に開発したシミュレーションソフトを駆使して物流の効率化や在庫の適正化、販売促進などをバランス良く進め、いかにROI(投下資本利益率)を最大化できるかを競い合っている。

実践的なプログラムを通じ、経営とSCMの重要性を学び取ってもらうのが開催の狙いで、例年数百規模の企業がチームを派遣している。

最近の潮流を踏まえ、今年の決勝はROIを高める上でサステナビリティが重視され、参加チームは「真のROI」を追求することを強く求められた。

シミュレーションソフトを活用した教育プログラムのTFC(The Fresh Connection)はSCM普及に努める国際団体APICS(American Production and Inventory Control Society)が認定。米国の著名な経済誌Fortune(フォーチュン)が選出している世界の収益が大きい主要企業「Fortune Global 500」の製造業トップ100社のうち4割が採用するなど、欧米を中心に普及が進んでいる。

世界SCM競技会では、どのように行動すればROIを上げられるか参加者には教えられないため、参加者はチーム内で結束を図りながら、短期間でいかにバランスの取れたSCM展開を実現できるかが大きな鍵を握っている。

(藤原秀行)

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