月面輸送・運航分野を想定
ispaceと日本航空(JAL)、JALエンジニアリング(JALEC)、JALUXの4社は12月3日、将来の月面における持続的な活動を支える輸送システムと基盤の構築を図るため、11月28日付で協業に向けた基本合意書を締結したと発表した。
新たにJALグループの商社JALUXが加わり、4社体制で地球と月を結ぶ新たな経済圏「シスルナ経済圏」の構築を目指す。

基本合意書を締結した(左から)JALEC・秡川宏樹取締役事業推進部長、JAL・鈴木隆夫執行役員イノベーション本部長、ispace・袴田武史CEO(最高経営責任者)&Founder、JALUX・毛利英史執行役員航空・空港事業本部長
JALは月面探査レースGoogle Lunar XPRIZEに参加したチーム「HAKUTO」や、日本初の民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」にコーポレートパートナーとして参画し、ispaceのランダー(月着陸船)部品やローバー(月面探査車)の航空輸送をはじめ、JALECによる燃料配管の溶接や組み立て・試験など技術面で支援してきた。
今後は基本合意に基づき、ispaceのランダーやその関連設備に対し、JALとJALECが航空分野で培った整備技術や航空管制、運航管理などの知見を活用し、将来の月面生活圏と輸送機の高頻度な離着陸を支えるシステム・基盤構築を目指す。
JALUXの加入を機に、JALグループの一般顧客向け宇宙関連サービスに関する新たな協業も検討するほか、ispaceが主力事業に据えている月面輸送サービスでペイロード(荷物)搭載枠の販売連携を検討する。
ispaceのランダーによる月面輸送とJALグループの航空知見や顧客ネットワークを掛け合わせ、一般顧客や民間企業など多様なステークホルダーに月面輸送の機会を提供することを念頭に置いている。
【ispaceとJALグループの主な協業の歩み】
2015年 JALがHAKUTOのコーポレートパートナーとして支援
2018年 HAKUTO-Rプログラム始動
2019年 JALがコーポレートパートナーとして継続参画
2018–2022年 JALECがランダー組立・試験支援および推進系配管の溶接・非破壊検査を実施
ミッション1 ランダーフライトモデル推進系配管の航空輸送
2024年 ミッション2 ローバーフライトモデルの航空輸送支援
2025年 JALUXも加わり、月面輸送・運航分野での協業検討に合意(本件)

HAKUTO-Rにおける協業の軌跡に感謝を込め、JALEC製作の記念プレートをispaceに贈呈
(藤原秀行)※いずれも4社提供


