G20大阪サミット時は平常より物流貨物車両の稼働台数が5割程度減少

G20大阪サミット時は平常より物流貨物車両の稼働台数が5割程度減少

富士通交通・道路データサービスなどがビッグデータから交通規制の影響分析

富士通子会社で商用車の安全運行支援などを手掛ける富士通交通・道路データサービス(FTRD、東京)と富士通鹿児島インフォネット(鹿児島市)、トランストロン(横浜市)は8月6日、2019年の20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)開催に併せて大阪市内で実施された大規模な交通規制の影響に関する分析結果を公表した。

全国約17万台の物流貨物車両に搭載したトランストロン製デジタルタコグラフを介して日々収集している走行経路といったビッグデータを基に、平常時とG20サミット開催時の稼働車両数などの違いを比較。その結果、G20サミット時は平常時より稼働車両数が5割程度減少するなど、交通規制の影響が明確に見られたと説明している。

FTRDは物流貨物車両のビッグデータ分析の有用性があらためて確認できたとして、「今後開かれる東京オリンピック・パラリンピックなどの大規模イベントに向けて、物流事業者の配送計画策定や一般道迂回に伴う近隣住民への影響把握などに役立つ情報を提供していく」と強調している。

出発時間の前倒しや分散傾向を確認

FTRDなど3社の発表によれば、大阪中心部20キロメートル四方の稼働車両数の推移を見たところ、木曜日の6月27日と金曜日の同28日はともに6000台程度で、その前の平常時の木曜日(6月6日、13日)や金曜日(6月7日、14日)の1万台強から5割前後まで減っていた。

土曜日の同29日も5000台程度で、平常時の土曜日(6月8日、15日)の8000台弱から減少していることが見て取れた。ただ、日曜日は平常時、G20開催時のいずれも4000台程度で、あまり大きな減少は見られなかった。


稼働車両数の推移※クリックで拡大


曜日別稼働車両数推移※クリックで拡大

また、G20開催会場を中心とした大阪市内へ配送する車両の出発時間を6月6日と同27日で比べてみた結果、平常時の6日は午前3時台と同7時台に集中している半面、G20開催時の27日は午前1時台にピークを迎え、その後は早朝まで集中する時間帯がなかった。FTRDは「出発時間が前倒しされ、分散している傾向が確認できた。また日中の出発回数も抑制傾向が見られた」と指摘、運送事業者が対策を講じていることが浮き彫りとなった。


時間帯別出発件数※クリックで拡大

中心部避けたルート選択の可能性

京都方面からG20会場付近へ配送する車両の走行経路を調べたところ、平常時の6月6~7日と13~14日はほぼ同一の経路が選ばれ、大きな変化はうかがえなかった。しかし、G20開催時の27~28日は通常と異なる迂回行動が見えてきたという。

FTRDは「大阪中央環状線を吹田方向へ走行する車両や、阪和自動車道を南下する車両など、中心部を避けたルートを選択している可能性が考えられる」と推察している。


G20会場付近へ配送する車両の走行経路※クリックで拡大

最後に、G20会場付近へ配送する車両の走行頻度を見てみた結果、平常時の6月第1週と第2週で比べると同じ頻度で走らせている車両が一定数存在。半面、6月第1週とG20開催時の第4週で比較したところ、平常時に週4~6日走っている車両の約7割がG20時は週3日以内に抑えられているのに対し、平常時に毎日走行している車両はG20時も6割以上の車両が毎日走っていた。FTRDは「走行頻度の高い車両はG20開催中であっても走行抑制できない傾向が見られた」と解説している。


G20会場付近へ配送する車両の走行頻度※クリックで拡大(図はいずれもFTRD提供)

(藤原秀行)

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