小林社長らが26年の事業方針説明、法改正対応へ「構内滞留1時間以内」達成拡大も想定
キリングループロジスティクス(KGL)は2月26日、東京都内の本社で記者会見し、2026年の事業方針などを説明した。
改正物流効率化法の完全施行や中小受託取引適正化法(取適法)の施行、少子高齢化や人手不足といった外部環境の変化を考慮し、物流の持続可能性をさらに高めるため、物流DXや環境対応などを積極的に推進する意向を表明。
併せて、若い人を中心とした“酒離れ”による市場の変化にも対応することを目指し、「ヘルスサイエンス」「海外輸出」「外販」を次世代の成長領域として取り組みを強化していく方向性を示した。
物流DXについては、構内作業の改善点をあぶり出す分析ツールの導入と、ビールや酒類、飲料の在庫・需給・輸配送といった多様なデータをシステム上で一元的に管理できる「SCMデジタルプラットフォーム」の構築にも着手する考えを示した。2035年までの完成を目指す。
会見でKGLの小林信弥社長は35年に向けたDXの推進について「(KGLを含む)キリンホールディングスグループ全体として、人間がやっている仕事の業務の5割をAIに置き換え、人間は人間にしかできない付加価値の高い仕事に集中していくことを想定している。AIの立てた計画が方向性に合っているかどうか最後の確認を人間がするのが5割に相当するようなイメージ」との見方を示した。

会見する小林社長
会見では、25年の事業計画を回顧し、連結売上高は前年からほぼ横ばいの768億円だったと説明。一方、改正物効法など法改正への対応として、Hacobuの車両動態管理システムなどを駆使してトラックの拠点構内滞留時間を1時間以内に抑えるとの目標は、台数ベースで前年から22%改善できたほか、ASNデータ(事前出荷情報)を活用した届け先への検品レス納品も累計で約100件に到達したと成果を強調した。
物流DXでも、税務帳票のペーパーレス化、法定点検マニュアルの電子化などを推進してきたとアピールした。
26年についても、構内滞留1時間以内の達成度合いをさらに高めていくことを目標にするほか、検品レス納品も導入を広げていくことに意欲を示した。
環境対応では、26年の秋ごろをめどに、日野自動車製の大型FCEV(燃料電池車)トラック1台を導入、CO2排出の削減を図ることを明らかにした。
物流DXでは、「SCMデジタルプラットフォーム」を介して組織を横断したデータの統合、SCMに必要な各種情報の一元管理をそれぞれ達成することで、中長期的には自動で最適な需給・配車計画を策定したり、リアルタイムで経営実績を可視化して予実管理の精緻化や経営判断の高度化を図ったり、トラックの配送状況をリアルタイムで把握できるようにして荷待ちや検品の時間を大幅に減らし得意先の作業負荷を抑えたりすることを想定していると解説した。
構内作業の分析ツールとして、現実の世界から収集したデータをコンピューター上で再現する「デジタルツイン技術」を活用することを検討。業務改善やマテハン設備導入の前に効果を高精度でシミュレーションできるようにし、生産性を向上させていくとの狙いを明らかにした。
具体策の一例として、札幌支店で自動フォークリフト(AGF)を導入していることに触れ、デジタルツイン技術による仮想モデル上でAGFと貨物の動きをシミュレーションし、AGFのベストな活用方法を模索する意向を見せた。
さらに、現場の安全確保供花のため、AIエージェントによる事故リスク予測と全国の従業員らへの注意喚起を自動で済ませられるようにすることも想定している。「ヒヤリハット」の情報を全社でリアルタイムに共有したり、過去のデータから発生率が多い事例をAIが移動で抽出して現場に事前に注意喚起したり、気温や湿度の予報を基に熱中症のリスクを事前に算出したりすることなどを進めていく方向性を紹介した。
(藤原秀行)











