千葉・浦安の「鉄鋼団地」から業界特化の運送業務効率化システム普及目指す

千葉・浦安の「鉄鋼団地」から業界特化の運送業務効率化システム普及目指す

共同開発の4社が会見、24年問題への対応にも効果と強調

鉄鋼業界に特化した運送業務一元管理支援システム「TEPPAN(テッパン)」を共同開発した4社は3月11日、千葉県浦安市で記者会見し、業務の効率化を図ることで「2024年問題」への対応にも効果を発揮するとの見解を表明、関連企業に利用を呼び掛けた。また、鉄鋼関連業が集中している同市内の工業団地「浦安鉄鋼団地」から同システムを普及させ、業界の物流効率化を推し進める標準的な存在にしていきたいとの決意を示した。

4社は熱延コイルの製造を手掛ける藤澤鋼板(千葉県浦安市)、銅板コイルを切断しロール状に巻き取る「スリット加工」を担う別府スリッター(同)、運送業の櫻井運輸(東京都江東区亀戸)、物流業界向け情報システム開発などを展開しているスタートアップのネバーマイル。


(ネバーマイル ホームページより引用)

TEPPANは鋼板製品などを扱う事業者と運送業者を結び、各製品の輸送発注をオンライン上で簡素化するとともに、運送業者からの積み込み・納入スケジュールの回答や車番の連絡などもTEPPAN経由で事業者へ迅速に済ませられるようにするのが特徴。

配送依頼の明細別に配車手配の進捗状況をシステムで表示するなど、利便性を高めているほか、積載する鋼材の板厚やサイズを選ぶと、TEPPANのシステム上で重量をはじき出す機能も搭載。鉄鋼業界に特有の重量計算を自動化することで、トラックの選択など配車を組み立てやすくなるよう配慮している。同じく鉄鋼業界独特の、発注に対して分割で配送する慣習も効率的にクリアできる。

データ化した配送依頼は紙やエクセルで出力、TEPPANに参加していない運送業者も情報を共有できるよう工夫している。今後は利用企業の基幹システムとの連携なども可能にしていく考えだ。今年に入って藤澤鋼板、別府スリッター、櫻井運輸の3社間でTEPPANの運用を本格的に開始、業務効率化で効果を挙げているという。

会見で藤澤鋼板の藤澤丈社長は、同社でも営業担当者の輸送手配状況がリアルタイムで経営側に伝わっておらず、社内で一緒に配送できる荷物がばらばらに配送されるような非効率なケースがあったことを明らかにし、「鉄業界には昔ながらの紙や電話を使ったやり方が染み込んでいる。TEPPAN上でうまく納期調整をして合積み(混載)の機会を増やせれば運送会社側にもメリットがあるし、流通側としても運賃(抑制)の形で還元されるメリットがある」と指摘。

櫻井運輸の櫻井隆介専務取締役は「皆さんと協力して(TEPPAN利用拡大へ)対応を進めていきたい。ある程度ウェブ上で業務が完結するのは荷主と運送会社の双方にとって省力化、時間の節約になる」と意義を訴えた。

別府スリッターの別府竜児社長は「まだ発展途上のシステムなので、今3社間で使いながら毎月のようにバージョンアップを進め、機能改善を重ねている」と説明。

ネバーマイルの深作康太CEO(最高経営責任者)は「傭車の登録機能も備えているので、運送会社側で協力会社へ委託する案件も管理できる」と解説した。


会見で撮影に応じる(左から)櫻井運輸・櫻井専務、別府スリッター・別府社長、藤澤鋼板・藤澤社長、ネバーマイル・深作CEO

(川本真希、藤原秀行)

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