日本のCEO「ビジネスの慣行や常識を革新的に壊すのにためらい」

日本のCEO「ビジネスの慣行や常識を革新的に壊すのにためらい」

KPMGコンサルティング・宮原社長がグローバル調査結果踏まえ指摘

KPMGコンサルティングはこのほど、日本と欧米、アジア、オセアニアの主要国を対象に実施した2019年版のグローバルCEO(最高経営責任者)調査結果に関する記者説明会を東京都内で開催した。

調査結果によれば、自社の技術戦略を自らリードしていると認めたり、自社の成長はビジネスの常識にチャレンジし、破壊する能力に依存するとの問い掛けに強く同意したりする割合が日本のCEOはいずれも全11カ国中、2番目に低かった。

同社の宮原正弘社長兼CEOは「日本ではビジネスの慣行や常識を革新的に壊すのにためらいを感じているのが見受けられる」と指摘。CEOによりリーダーシップを発揮し、業務のデジタル化など積極的に革新を起こしていくよう奮起を促した。

調査は19年1~2月、米国や英国、日本、フランス、ドイツ、中国、インド、オーストラリアなど11カ国のCEO1300人を対象に行った。日本は100社から回答があった。業界は投資運用や自動車、銀行、小売り、製造業など多岐にわたる。

「情報セキュリティーが戦略的機能」も2番目に低い

「自社の技術戦略を自らリードしている」に同意したCEOは日本が77%に達したが、上位のスペイン(90%)や米国(89%)、インド(89%)などと差が目立った。「自社の成長はビジネスの常識にチャレンジ、破壊する能力に依存する」との問いに強く同意した割合は日本が33%で、やはりフランス(45%)や米国(42%)、インド(40%)などに引き離されていた。

「競業に破壊される前に自ら自社の業界の破壊者になるよう積極的に取り組んでいる」に同意する割合は日本が59%で、18年の48%から11ポイントアップしたが、全11カ国の中では7番目。米国(73%)やインド(66%)、オランダ(同)、スペイン(同)などには届かなかった。


「自社の成長はビジネスの常識にチャレンジ、破壊する能力に依存する」との問いに強く同意した割合の比較(KPMGコンサルティング資料より引用)※クリックで拡大

宮原氏は日本のCEOの77%が技術戦略のリーダーと自任している点に関し「デジタル変革に取り組まなければいけないという危機感の表れではないか。ただ、具体的にデジタルやテクノロジーをどう活用するかが分からず、取りあえずデジタル変革のチームやCDO(最高デジタル責任者)を置いたというのが正直なところではないか」との見解を示し、より踏み込んだ対応を進めるよう要望した。

このほか、「情報セキュリティーは競争優位性を生み出す戦略的な機能」に同意した割合も日本は58%で2番目に低く、米国(81%)や中国(72%)、英国(71%)などと差が際立った。全般的にデジタル技術導入で組織を革新する意識に遅れがみられた。


宮原氏(2018年10月撮影)

(藤原秀行)

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