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【現地取材・動画】「引越し難民」回避へ家財の長距離輸送自動化実証を4月開始

【現地取材・動画】「引越し難民」回避へ家財の長距離輸送自動化実証を4月開始

T2とサカイ、ハートの両社が連携、関東~関西間の一部高速道路対象

自動運転トラックの開発を手掛けるT2と引越大手のサカイ引越センター、ハート引越センターの両社は3月12日、引越の家財道具を関東~関西間の高速道路の一部区間で自動運転トラックを使って輸送する実証を今年4月に始めると発表した。


サカイ引越センターの拠点とT2の自動運転トラック




ハート引越センターの拠点とT2の自動運転トラック(いずれもT2提供)

引越業界では例年、転勤・進学などが集中する3・4月に依頼が急増。政府は利用者に時期の分散を呼び掛けているものの、「物流2024年問題」やトラックドライバー不足を受け、今後は特に関東~関西など長距離の輸送を担うドライバーが確保できないと、希望の日程で引越が困難となる「引越し難民」が増える恐れがあると見込まれている。

T2は2027年度に、「レベル4」自動運転(特定の条件下で完全無人化)トラックによる幹線輸送サービスを始めることを目指している。

サカイは4~10月に計4回、同社の拠点が入居している東京都品川区の物流施設「東京レールゲートWEST」(東京都品川区八潮)~同社神戸六甲支社(神戸市)のうち東名高速道路~名神高速道路の約450kmで、ハートは5~11月に同じく計4回、東京センター(東京都葛飾区奥戸)~大阪センター(大阪府摂津市)のうち東名~名神の約440kmでそれぞれ実施する。

サカイとハートの両社は長距離の家財輸送を自動化することで業務を効率化・省力化し、事業の持続可能性を高めたい考え。

T2はこれまでにも約40社と、自動運転トラックを使った長距離輸送の自動化・省人化の実証を重ねてきた。今回は初めて、引越サービス利用者のニーズが高い土日の運行にチャレンジし、交通量や運行管理体制の構築など、土日特有の条件でオペレーションが有効に機能するかどうかを見極める予定。



東京レールゲートWEST内で3月12日に記者会見したT2の熊部雅友CEO(最高経営責任者)は「自動運転トラックの導入で輸送作業にリソースを割く必要が減り、より高品質のサービスを提供できるようになる」と狙いを強調。

同席したサカイの山野幹夫専務取締役は「感染の無人輸送が実現できれば高等傾向にある輸送費の安定、自社ドライバーの負荷期限につなげる」と期待を表明。ハートの太田至計社長は「幹線無人輸送と共存し、ドライバーの健康と安全を守りながら輸送コストを軽減したい」との見解を示した。

3社はT2の自動運転トラックに引越の家財を積み込むデモも実施した。


T2の自動運転トラック


会見後の撮影に応じる(左から2人目より順に)ハート・太田氏、サカイ・山野氏、T2・熊部氏

期間・区間

【サカイ引越センター】
初回は本年4月4~5日 その後、10月まで計4回

東京レールゲートWEST(東京都品川区)から神戸六甲支社(神戸市)までの約520キロを往復運行(レベル2自動運転=ドライバ―が同乗し有事の際はすぐに運転を交代する=、区間:東名・綾瀬スマートIC~名神・西宮ICの約450キロ)

【ハート引越センター】
初回は本年5月23~24日 その後、11月まで計4回

東京センター(東京都葛飾区)から大阪センター(大阪府摂津市)までの約510キロを往復運行(レベル2自動運転、区間:東名・綾瀬スマートIC~名神・高槻ICの約440キロ)

役割

・サカイ引越センターおよびハート引越センター:拠点・運行ルートの選定、実証貨物の手配
・T2:自動運転トラックの提供、走行データの収集・分析、技術検証

積載物

両社ともに単身個人顧客の引越家財

検証内容

・自動運転を組み込んだ運行オペレーションの有効性
・走行ルートおよびリードタイムの有効性
・土曜日・日曜日における自動運転トラックを用いた輸送の有効性


実証で輸送するサカイ引越センターの家財のイメージ



レベル4自動運転の商業化を見据えて、T2は今年1月、「関東~関西間の1日1往復」運行を国内で初めて実証するなどオペレーションの構築を進めるとともに、今年春に、無人運転(高速道路)と有人運転(一般道)を切り替えるためにドライバーがトラックに乗り降りする「切替拠点」を神奈川県綾瀬市と神戸市の2カ所に設ける予定。

サカイとハートが参加する実証でも綾瀬市の拠点を活用することを想定している。

さらに同じく今年春、高速道路上の工事区間など、これまでドライバーが一時的に手動運転に切り替えざるをえなかった場面に対応する自動運転技術を新たに開発・実装し、綾瀬市と神戸市の切替拠点近くのIC手前までの本線完走を目指しており、レベル4に向けた準備を本格化させていく予定。

(藤原秀行)

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