自主行動宣言を独自集計、卸・小売業は「異常気象時等の運行の中止・中断」など増加
政府が物流事業者や荷主企業と連携してトラックドライバーの就労環境改善などを図る「ホワイト物流」推進運動について、ロジビズ・オンラインは8月23日時点で賛同を表明している全国の荷主企業と物流事業者206社・団体が同運動事務局に提出した自主行動宣言を独自に集計した。
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荷主企業の中で特に賛同数が多い製造業、卸・小売業の両業種をそれぞれ調査した結果、同宣言で必須項目となっている全体の取り組み方針と法令順守への配慮、契約内容の明確化・順守の3点以外に各社が選択した項目は、製造業で「パレット等の活用」が前回7月の集計時からさらに割合が拡大。各社の間でパレットなどを有効に使い、物流効率化を図ろうとする意識が強まっていることをうかがわせた。
一方、卸・小売業は「異常気象時等の運行の中止・中断等」や「運送契約の書面化」、「荷役作業時の安全対策」といった項目を選択した割合がアップした。
意識広がる「リードタイムの延長」
ロジビズ・オンラインの集計は必須項目以外の選択結果を明示している企業が対象。同じグループに属する企業が複数あった場合もそれぞれの回答を集計にカウントした。集計対象の企業・団体数は製造業が74(7月24日時点は54)、卸・小売業が34(同28)に達した。
製造業、卸・小売業ともにトップは「物流の改善提案と協力」で、製造業は7月の83・3%から86・5%に伸び、卸・小売業は85・7%から85・3%とほぼ横ばい。両業種で大多数の荷主企業が物流の改善提案と協力に前向きな姿勢を見せていることがあらためて示された。
製造業は2番目に多かった「パレット等の活用」が7月時点から2・8ポイント上昇し48・6%と5割に迫る勢いを見せている。併せて、「リードタイムの延長」も5・2ポイント上がって36・5%となり、無理のある納期設定などを見直そうとする意識の広まりを感じさせる結果となった。
「異常気象時等の運行の中止・中断等」は44・6%、「船舶や鉄道へのモーダルシフト」は31・1%でともに7月時点から割合が低下したが、依然一定程度の関心を集めている格好だ。
「異常気象時の運行中止・中断」「契約書面化推進」が拡大
卸・小売業は「パレット等の活用」が44・1%で、7月時点より2・3ポイント下がったものの全選択肢の中で2番目に多く、依然4割強が志向していることが分かった。「異常気象時等の運行の中止・中断等」は42・9%から44・1%に、「運送契約の書面化の推進」は35・7%から38・2%に上昇。「荷役作業時の安全対策」は21・4%から29・4%へ伸びた。
また、「発注量の平準化」と「契約の相手方を選定する際の法令遵守状況の考慮」は23・5%で、いずれも2・1ポイント上昇した。
(藤原秀行)