推進運動の自主行動宣言、モーダルシフトや入荷情報の事前提供も高い関心
政府が物流事業者や荷主企業と連携してトラックドライバーの就労環境改善などを図る「ホワイト物流」推進運動に関し、ロジビズ・オンラインは9月6日時点で賛同を表明している全国の荷主企業と物流事業者277社・団体が同運動事務局に提出した自主行動宣言を独自に集計した。
荷主企業の柱を占める製造業のうち、同宣言の詳細な内容を確認できる118社について、同宣言で必須項目となっている全体の取り組み方針と法令順守への配慮、契約内容の明確化・順守の3点以外に選んだ項目を見たところ、「パレット等の活用」と「異常気象時等の運行の中止・中断等」が全体に占める比率はいずれも5割に達した。昨今の人手不足や大規模災害頻発を受け、製造業の間でも対策の必要性に関する認識が引き続き広がっていることを示唆した。
今回の宣言は各企業の自主的行動と位置付けられており、打ち出した施策が具体的にどこまで順守され、効果を挙げるかは各社の手腕が試される。
「出荷に合わせた生産・荷造り等」伸びる
調査は国土交通省が同運動に関するインターネットの専用サイトに掲載した各社の回答を利用した。製造業では、東芝などの同一グループから複数の企業が宣言を提出しているケースがあるが、グループ企業内でも回答が完全には一致していないため、原則として全て集計対象としている。
上位の項目を選んだ割合は、「物流の改善提案と協力」が83・1%、「パレット等の活用」が51・7%、「異常気象時等の運行の中止・中断等」が50・0%だった。「船舶や鉄道へのモーダルシフト」は39・8%、「発荷主からの入出荷情報等の事前提供」は33・9%、「リードタイムの延長」も31・4%に上った。
このほか、出荷時の順序や荷姿を想定した生産・荷造りなどを行い、荷待ち時間を短縮する「出荷に合わせた生産・荷造り等」も30・5%で、ここに来て比率が上昇している。
一方、「物流を考慮した建築物の設計・運用」は対応が難しく相当の投資を必要とすることもあってか、選択した企業はなかった。「混雑時を避けた配送」(0・8%)、「引越時期の分散への協力」(同)、「宅配便の再配達の削減への協力」(1・7%)、「下請取引の適正化」(2・5%)なども割合が低かった。
(藤原秀行)