拠点立ち上げなど支援のCAPESも、顧客の課題解決し事業差別化図る
プロロジスが、物流施設に入居している顧客企業へのサポートを拡充するため、有望な技術を持つスタートアップ企業との連携に注力している。今年に入ってから正式発表した分で4社に上っている。さらに、物流拠点の立ち上げ支援などを手掛けるCAPES(東京)ともかねてパートナーシップを組んでおり、プロロジスは各社のノウハウを生かして顧客企業の庫内業務自動化などを積極的にサポートしていく計画だ。
コンサルティングサービスにも活用
2019年は従業員の離職防止アプリ「テガラみる」を展開しているテガラミル(東京)、ラストワンマイルの物流などを手掛けるウィルポート(同)、単発バイトのマッチングアプリを提供しているタイミー(同)、庫内作業の進捗状況を可視化するアプリを共同開発したKURANDO(同)――とそれぞれ新たにタッグを組んだと発表した。これだけの多様なスタートアップ企業と連携したのは過去に例がないハイペースのようだ。
背景には、賃貸物流施設市場の競争が激しい中、スタートアップ各社との結び付きを通じ、人手不足に悩む入居企業の窮状を打開するとともに、業務効率化をさらに後押しし、物流施設の付加価値を高めたいとの思いがある。プロロジスの山田御酒社長は10月31日の記者会見で、多種多様なスタートアップ企業とタッグを組むことにより「お客さまの課題解決を目指してさまざまな取り組みを続けていきたい」との考えを示した。
同社はその一環として、物流施設の開発・運営にとどまらず、顧客企業の物流拠点立ち上げや庫内オペレーション効率化、自動化といった分野でコンサルティングを実施している。中立的な立場でより踏み込んだサポートを提供し、差別化を図る狙いがある。
これまでにも玩具メーカーがセンター老朽化に伴う移転に併せて自動化を進めるのに協力したり、3PL事業者にAGV(自動搬送機)を使ったピッキングシステム導入の要件定義を手伝ったりと、着実に成果を挙げてきている。今後コンサルティングを進める中で、スタートアップ企業のノウハウや知見を積極的に取り入れていこうと模索を続けている。
同社が11月14、15日に開催した「プロロジスパーク千葉1」(千葉市)の内覧会では、パートナー企業として前述のKURANDOとウィルポートに併せて、物流コンサルティングを行っている18年設立のスタートアップ企業CAPES(同)を紹介。同社の西尾浩紀氏が事業内容を説明した。
西尾氏は工具通販大手MonotaRO(モノタロウ)で自動搬送ロボットなど多数のマテハン機器を導入した物流拠点の新規立ち上げプロジェクトのマネージャーを務めるなど、物流現場の知識や経験が豊富。プロロジスのパートナー企業として、新規物流拠点の開設や自動化の推進、物流業務の診断などを担当していく方向だ。
他の大手デベロッパーの間でも、先進技術を生かしたソリューションを提供できる企業と組み、自社の物流施設の付加価値を高めようとする動きが広がっている。物流現場の業務革新に貢献できる技術を持つスタートアップ企業にとっては、チャンスがこれからも増えそうだ。
「プロロジスパーク千葉1」の外観(プロロジス提供)
(藤原秀行)